2021-03-24

100年前、体温計国産化で創業、 カテーテル・エクモで存在感─  医療機器大手 テルモ・佐藤慎次郎の 「変革期にこそ、的確な ソリューションを!」

佐藤慎次郎・テルモ社長CEO



異業種の2社を
体験して思うこと

 佐藤氏は東京大学経済学部卒業後、84年東亜燃料工業(現ENEOS)に入社。エクソンとモービルの合併会社で一時期米モービル社にも勤務し、「違うスケールの世界も見る機会がありいい経験になりました」という。

 その後のエネルギー革命で産業構造も変化。「エネルギー産業と金融ほどこの50年で大きく変わったところはない」と総括。

 本人はこのあと、99年に朝日アーサーアンダーセン(現PwCJapan グループ)に入社。ここで粉飾決算のエンロン事件にアーサーアンダーセンが巻き込まれてしまった。

「アーサーアンダーセンがある日突然無くなるみたいな時に遭遇。本当に諸行無常の響きありではないけれども、ビジネスの無常観を知るにはもう十分すぎる位の2連発でした」という本人の述懐。

 5年後の2004年、縁あってテルモに入社。10年執行役員、11年心臓血管カンパニー統括などを経て14年取締役上席執行役員、15年常務執行役員。そして17年4月社長CEO(最高経営責任者)に就任という足取り。 医療機器分野に入ってきて、一番感じることは何か?

「石油産業に在籍時は、事業範囲も日本に閉じこめられていたし、東燃の場合は成長ということではしばらく選択肢がなかったような時代でした。今はその自由度、開かれた感じがあり、大変な魅力を感じています」

 佐藤氏が続ける。

「このことは一方で大変でもあるんですよ。でも、自分たちの頭で考えて、それで世界にチャレンジするとか、成長の期待に応えるとかは、ビジネスのリストラをやっているよりは楽しい。同じ苦労をするなら、楽しい苦労のほうがいいですよね」

 佐藤氏はこう述べながら、「DXが進んでいくと、今までの産業の枠組みが変わる可能性がある。機械とか製薬とかの枠も取り払われてくる。製薬会社さんも本当に機械に興味を持っているし、DX活用で、システムで治す病気も出てくる」と将来を予測。

 新しいソリューションの掘り起こしへ、チャレンジが続く。

本誌主幹・村田博文

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事