2021-03-08

なぜ兵庫・淡路島に本社機能を移転したのか? 南部 靖之・パソナグループ代表を直撃

南部 靖之・パソナグループ代表


全国から問い合わせ



 ── 計画では1200名を淡路島に移転させるんでしたね。

 南部 2024年5月末までにグループ全体の本部機能社員約1800名のうち、約1200名が淡路島で活躍する予定です。この半年以上は淡路島が司令塔になっていて、今も常務の8人が淡路島にいます。だから、業務のメインはこちらになっていると言っても過言ではありません。

 ── 一方で、社員の中には淡路島に行きたくない人もいると思うんですが、その辺は?

 南部 やはり家族がいて、子供が小学校に入ったばかりとか、そういう人はいます。その辺りはきちんと話し合って、東京にいて仕事してくれたらいいと思います。
ただ、淡路島はしばらく人口減少が続き、学校を廃校にしたりしていたので、学校や幼稚園の数が足りません。この辺はこれからの大きな課題です。

 ── インフラという点では、病院は足りているんですか。

 南部 病院は多いですね。島内にはびっくりするぐらい立派な病院があるし、橋を渡れば神戸もすぐなので医療関係は充実しています。

 社員の生活の質は一変したと思いますよ。満員電車による通勤もなくなったり、オフィスの中にベビーシッターがいたり、子供の遊び場があるから、お母さんは子供を預けて安心して働くことができるし、お子さんもすぐそばにお母さんがいるから安心ですよね。

 その意味では、シングルマザーの方から、パソナで働きたいという声を非常に多くいただいています。

 ── そうなると、パソナで働きたい人は増えていますか。

 南部 増えているどころか、有名な家電メーカーの出身者だとか、東京では採用できなかった人たちからの問い合わせがかなりあります。また、淡路島の出身者で有名大学に入って、一流企業に勤めていたような人たちが、故郷に戻って働けるなら、戻りたいという人も多いです。

 今までは淡路島は農業というイメージが強かったから、東京に出るしかなかった。それがパソナなら農業以外の仕事も多くあるだろうということで、応募してくれるんだと思います。だから、こちらがビックリするくらいの経歴を持っている方がパソナに来て何をするんだというくらいです(笑)。

 採用以外も含めたら、今も問い合わせが200件以上来ていますよ。

 ── それは地方移転を考える経営者ですか。

 南部 ええ。東京はじめ全国から問い合わせが来ています。

 やはり、BCPの観点から皆さん不安なんでしょうね。特にIT関係の経営者の方は、パソコンがあれば、どこに行っても仕事ができますから、東京と違って家賃も全然安いし、非常に関心が高いように思います。

 淡路島は神戸まで30分、大阪まで1時間くらいで行けるのに、これだけ自然豊かで住みやすい。移動を考えても、神戸、伊丹、関西国際、徳島と4つの空港もあるので、本当に来て良かったと思います。

なんぶ・やすゆき
1952年兵庫県出まれ。76年関西大学工学部卒業。在学中にパソナの前身・テンポラリーセンターを設立、人材派遣業を開始。現在はパソナグループの代表取締役グループ代表をつとめる。

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