2021-03-05

Mizkan・吉永智征社長兼CEO、コロナ禍で高まる「内食」需要など、時代の変化に合わせた「食」の提案を続けて

「コロナ禍は未経験の事象。この先どうなっていくかを考えるよりは、起きていることを早くキャッチし、対応を早く取ることを考えてきた」

 コロナによって家でご飯を食べる「内食」需要が高まった。その中では「暑い夏でも鍋つゆが例年の倍以上売れた」という。平日から家族が揃う日が増え、従来は週末にみんなで食べていたものが、平日に食べられるようになったこと、そして野菜を多く採ることができるため、健康、ダイエットを意識する人が増えたことによる。コロナによる社会の変化の一部だ。

 既存の主力製品は売り行き好調の一方、「新商品を浸透させる難易度が高まっている」という。コロナの影響でスーパーは以前以上に忙しくなり、売り場を大きく変える余裕がなくなっている。「いかにシンプルに、商品の特徴をわかりやすく伝えられるかを常に考えている」

 素材を余すところなく使い、おいしく食べる「新しい食」を提案するブランド「ZENB」(ゼンブ)も手掛けるが「今は考え方を浸透させ、理解、共感してくださる方をどれだけ増やせるかという段階。息の長い取り組みをしていく」。

 新商品といえば、2008年に砂糖や食塩を加えた調味酢「カンタン酢」を発売したが、当時社内では「これはお酢なのか? 」という議論があった。

 だが「それはメーカー側の認識。生活者から見ればお酢で、しかも美味しいものをつくりたい時に、面倒な部分を先に解決し、価値が上がっている」。メーカーとしてのこだわりを持ちながら、視点は生活者に置くという姿勢で新たな市場を築いた。

「これまで売れてきた既存ブランドは味や提案方法も含め、常に時代に合わせて変えてきたからこそ維持ができている。何もしなければ劣化する」という危機感を持ちながら仕事をしてきた。吉永氏は入社以来、多くの時間を新規事業開発の現場で過ごしてきた。そうしたチャレンジをし続けてきた経験も踏まえ、社内に向けて「常に新しいことにチャレンジしよう」と訴えている。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事