2021-03-05

三越伊勢丹HD新社長に岩田屋三越の細谷社長が就任へ

杉江俊彦・三越伊勢丹ホールディングス社長と細谷敏幸・次期社長(右)

百貨店業界首位の三越伊勢丹ホールディングス(HD)が、子会社で岩田屋三越の社長をつとめる細谷敏幸氏(56)が社長に就任する人事を発表した。4月1日付。社長の杉江俊彦氏(60)は事業会社・三越伊勢丹の会長に就く。

 同社は新型コロナウイルス感染症の影響で、店舗の臨時休業を余儀なくされたりして、今期(2021年度3月期)は450億円の最終赤字を計上する見通し。しばらくはインバウンド(訪日観光客)も戻らないと見られ、2期連続での赤字が確実視されており、経営の立て直しが喫緊の課題になっている。

 同社は昨年11月、18年に策定した19年度から21年度までの中期計画を取り下げ、今年5月に新たな中計を発表する予定。そのタイミングで細谷氏をトップとする新体制に切り替えることが望ましいと判断した。

 細谷氏は1964年7月東京都生まれ。87年に早稲田大学法学部を卒業後、伊勢丹(現三越伊勢丹)入社。2015年に執行役員に就任し、婦人雑貨統括部長や特選・宝飾時計統括部長などを歴任。18年4月から岩田屋三越の社長に就いており、業績を改善させた功績が評価されてのHD社長就任となった。

 人口減少や主要顧客の高齢化、インターネット通販の台頭などを背景に近年、苦戦が続く国内百貨店市場。2月末には三越恵比寿店(東京都)やそごう川口店(埼玉県)が閉鎖した。

 このため、“脱百貨店”を掲げるJ・フロントリテイリングや髙島屋は、都市型ショッピングセンターを相次ぎ開業するなど、生き残りをかけてビジネスモデルの転換を急いでいる。

 そうした中、「コロナの影響で厳しいというわけではなく、今までの既存のビジネスモデルがすでに市場に受け入れられていないと。こういう危機感を持ちながら次に進んでいきたい」と語る細谷氏。

 三越伊勢丹は新体制で業績回復を図ることはできるか。

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