2021-03-04

習志野第一病院理事長・三橋 稔が語る「忍び寄るウイルスを跳ね返す『2つの方法』」

三橋 稔・習志野第一病院理事長

コロナに感染する経路



 新型コロナウイルスは空気中に浮遊している。

 一人の人間が〝三密〟とよばれる条件下で、空気中のコロナを吸い込むと鼻・口から気管に入る。ウイルスが口腔内及び上気道の細胞にとりつき最終的に下気道に到達すると、突然体調不良を起こす。コロナに感染した場合、味覚障害、嗅覚障害が特徴的な症状だが、初期には軽度の発熱や咳など、かぜと似た上気道炎の症状が出るだけのこともある。

 コロナに感染すると、呼吸器粘膜が広範に冒され呼吸器粘膜上皮細胞にコロナウイルスが食いつくことで肺組織の破壊が進み、呼吸器系の感染防御機能が障害されることに加えて、全身の免疫力も低下する。肺の防御力が弱まれば、細菌による二次感染を起こすこともある。

 これらのことはすでに医学的・科学的にわかっている。では、我々はどのようにしたらよいのだろうか。

 第一に、上記コロナに罹患しないことである。

 すでに平均湿度が40%より低い地域ではコロナ発生が多いと言われている。

 新型コロナなど全く存在しなかった昔から冬になるとインフルエンザが流行するという理由は、現代人が生活する空間が乾燥しきっていると考えられる。

 20年前のSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行の頃、すでに50%の室内湿度が好ましいと言われていた。当時を振り返ると、当院では湿度計を各部署に配置し、湿度コントロール40~60%になるようにしていた。

 第二に、体の中でコロナと戦うのは白血球、リンパ球……。B細胞、T細胞であり、これらは免疫力を高める力となっている。その免疫力の60~70%は腸で作られる。よって腸の状態により、コロナにかかりにくい体にすることができるのである。
 

食物の特徴とコロナ感染



 免疫の6割から7割の大きな役割をもつ部署は腸に存在するといわれている。そして腸内細菌が環境良くなると免疫細胞が元気に活躍してくれる。

 よって、腸内細菌をよくするために発酵食品を多くとるとよい。乳酸菌と言われ、また酪酸菌も組み合わせるとよい。黒酢、バルサミコ酢などとヨーグルトを同時に摂るとよい。

 酪酸菌が増えると自然免疫が上がり感染が強く抑えられる。結論として日本人はたくあん、ゴボウ、味噌、醤油を日常生活で摂っているし、キムチを食べるし、ヨーグルトも食べている。この食生活がコロナに対応しているものと考えられる。

 結論は腸内環境である。腸には全身の免疫細胞の6~7割があり、腸には細菌がたくさんいて、その細菌群が免疫組織を作っている。腸内細菌は200種以上・100兆個で内容は善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスも重要である。

 腸内細菌についてはすでに多くの優れた文献がある。善玉菌を増やすことが重要なことは当然。ヨーグルトなどで乳酸菌を増やそう。

 そしてオリゴ糖が薦められる。オリゴ糖は胃や腸で分解されず、大腸に達してからビフィズス菌の栄養源となり菌の活動を助ける。その他、ビタミンC、亜鉛、セレン、ビタミンD等の摂取が必要ということが現在わかっている。

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