2021-03-05

ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第2回)

木村 皓一・ミキハウスグループ代表



スポーツ選手支援の原体験とは




 ミキハウスグループの事業はベビー・子供服や靴やカバンなどの用品類から、子供の成長に必要な出版、教育、子育て支援などの文化事業も手がける。

 また、注目されるのはスポーツ支援を起業当初からやっていること。

 今年7月開催予定の東京五輪・パラリンピック出場を目指す選手も支援。東京大会関連で支援してきた選手は14種目35人にのぼる。

 このうち、レスリング、空手、テコンドー、飛び込み、カヌー、カーリング、アーティスティックスイミングの7種目8人が代表内定を決めている。

 ミキハウスが抱えるスポーツ選手には五輪のアトランタ(1996)、シドニー(2000)、そしてアテネ(2004)と3大会連続で、柔道60㌔㌘級で金メダルを取った野村忠宏さん(1974年生まれ。1997年の世界柔道選手権でも金メダルを獲得)がいる。 

 また、卓球選手で1990年代から2010年代にかけて活躍した福原愛さんもミキハウスに所属した時代があった。

 ミキハウスのスポーツクラブに所属している選手は約40人。基本的に支援する競技は「ほとんどがマイナーであり、広告効果を望んでやっているわけではありません」と木村は語る。

 人知れず、名前も表に出さず、試合の遠征費など活動に必要な資金を提供してきたという歴史。現在、このスポーツ選手支援は年間数億円にのぼる。

 かなりの負担になるが、スポーツ選手は子供たちに感動を与えることにつながり、「目標や夢を持とう」という子供たちへのメッセージにもなるという思い。スポーツ選手支援を始めるきっかけは、車椅子バスケットボールに打ち込む選手への支援だった。

 実は、木村自身、3歳の時にポリオ(小児麻痺)にかかり、小学生の時は車椅子生活を送っていた体験がある。

 自分では歩けなくて、小学生時分、級友が遠足に出かける時、自分は教室で先生から渡された本を読んで過ごすという生活を送った。

「よし、自分の足で歩こう」と決意したのは中学校に入学してからだった。麻痺した右足にまず筋肉をつけようと、早朝3時に起きての新聞配達を始めた。

 自分の足で立つ──。この目標に向かって一日も欠かさず、中学3年間、新聞配達の仕事をやってのけた。木村の人生観、経営観の原点は、この中学3年間にあると言っていい。

(敬称略 「財界」2月24日号から)

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事