危機時を生き抜くブランド力の強さ
コロナ禍のような危機時にあっても、顧客に支持されるモノづくり──。
すぐれた技術をもつ日本のモノづくりで世界の消費者に訴えていくという木村の創業以来の考え方。この経営が今回のコロナ危機でも実証されたということ。
たくさんの方にミキハウスの靴を履いてほしいとの思いで、シューズモニターキャンペーンを昨年10月に実施。
インターネットでの特設サイトでは、たちどころに約50万件のアクセスがあり、「一瞬で売り切れ、品切れで購入できなかったお客様が多数おられました」という。
いいものをそれなりの価格で売る──。ミキハウスの高級子供服や靴類が強烈に支持されていることの証がコロナ禍で確かめられた。
日本の流通・小売業界では価格競争が激しく、とにかく安くという廉価販売に走りがち。低価格原理主義と海外から揶揄されたりもする。
「いいものを安く売るからいかんの。中国を含めて、海外ではいいものは適正価格でいいと言って買ってくれる」と木村。
中国は近年の高成長で国民の所得も向上。「向こうでは、日本の百貨店で売っているモノのおおよそ倍の値段で売っています」と木村は次のように続ける。
「中国が輸入品を受け入れる時の検査代って高いんです。一品出すごとに検査を受けなければならない。体のいい輸入規制です。だから、輸入相手も何を買って輸入して、中国国内で売るかという選択になります」
そうした交易・交渉の中で、ミキハウスが選ばれているということである。
(敬称略 「財界」2月24日号から)