農業が販売力を持てばグローバル市場で勝つ!
「日本の農業は農産物をつくる、つまり生産面ではピカイチ。しかし、自前の販売網を持っていないことが弱み」と金丸氏。
作った農産物は、市場でセリにかけられ、価格は常に変動する。自然災害、風水害を乗り越え、丹精込めて作った農産物だが、販売は自分たちの手を離れ、市場主義の枠組みの中で変動にさらされる。
そのシワ寄せは、最終的に農業生産者の所に返ってくる。そうした構造を一歩抜け出していく工夫を見つけようという金丸氏の呼びかけ。
「ええ、販売の最終のところだけ、市場に持っていってセリにかけているかぎり、途中の経費は全部農業者持ちなので手取りが減る。だからダイレクトの販路とか裾野の広いチャンネルを作ることが必要ではないかと」
ダイレクトな販路とは、ネット販売も含めて、デジタル化が有効ということか?
「そうです。中は、いろいろなプロセスがあっていいんですが、それをデジタルでうまく活用する。デジタルを活用している小売業の最たるものがコンビニじゃないですか。すぐれている企業のDX化を、例えばJAグループが取り入れれば、もっと農業者のためになる組織になる」
JA全中も1954年創立以来の特別認可法人から一般社団法人へと法人のあり方を変更し、農業全体に変革の気運も生まれ始めた。
「資金面でクラウドファンディングを活用するとか、新しい模索が始まっている。スピードはともかく、やろうとしていることは評価しています。だけど、もっとできるから、やってくださいと」
「今は、農業生産物の輸出額の目標も1兆円から5兆円へと大きく変わってきました。ドン・キホーテの安田さん(隆夫氏、パン・パシフィックインターナショナルホールディングス創業者)あたりは、自分の所だけで1兆円の輸出を手がけたいという目標をお持ちですからね」
『ユニクロ』や『ニトリ』にしても、販売力を持つ企業はグローバル市場でも健闘。こうした販売力の強化に日本の農業も注力するべきだし、その強化策の一環にデジタル化は有効という金丸氏の持論。