2021-02-26

アサヒGHD新社長に勝木敦志専務 「『スーパードライ』を世界販売10位入りへ」

勝木敦志・次期アサヒグループホールディングス社長兼CEO

「私自身は逆境が大好き。今年、来年は朝日(アサヒ)が昇る年にしたい」──。アサヒグループホールディングス(GHD)専務兼最高財務責任者(CFO)の勝木敦志氏(60)は社長兼最高経営責任者(CEO)への昇格に向けた意気込みをこう語る。

 同社は3月25日付の社長交代を発表。現社長兼CEOの小路明善氏(69)が代表権のない会長兼取締役会議長に、現会長兼取締役会議長の泉谷直木氏(72)は特別顧問に就く。

 2016年にアサヒGHD社長に就任した小路氏の功績は総額約2・4兆円を投じて進めたグローバル化だ。同社の20年12月期の海外売上高比率は就任前の15年12月期の15%から39%に、本業の儲けを示す事業利益に占める割合も10%から49%に拡大。今後も比率は高まり、21年12月期には事業利益の6割が海外になると見込む。

 かつてキリンホールディングス(HD)やサントリーHDと比べて海外展開が同社の課題と指摘されていたが、今では売上高ベースでビール会社世界第3位となっている。

 その小路氏のグローバル化を実務面で支えたのが勝木氏になる。特にM&Aでは接点があった。02年の旭化成や協和発酵工業(当時)から焼酎・低アルコール事業や酒類事業の買収をした際、担当役員が小路氏で勝木氏は実務者として動いていた。

 勝木氏は小路氏と同じ青山学院大学卒業後にニッカウヰスキーに入社。国際畑が長く、同社在籍時も商品輸出業務に携わり、アサヒビール転籍後の2000年代のM&Aでは、欧州事業の買収を除く東南アジアや豪州の買収を勝木氏が担当。デューデリジェンスでの目利き力を養い、「国際派の第一人者」(小路氏)としての手腕が評価された。

 勝木氏は「ロンドンなど主要都市で『スーパードライ』の販路を広げ、ブランド別で世界販売10位入りを目指す」と語るが、肝腎の日本市場では第3のビールで攻勢をかけるキリンHDにシェアで逆転を許した。

 加えて、コロナ禍での飲食店の休業で、業務用に強い「スーパードライ」の不振も続く。国内のテコ入れは待ったなしだ。

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