2021-02-26

半導体不足下の影響を最小限に トヨタが2度目の上方修正

2021年3月期第3四半期の決算を発表する執行役員の長田准氏(右)と執行役員の近健太氏

トヨタ自動車が今期2度目の上方修正を発表した。2021年3月期通期の連結営業利益を11月時点の見通しだった1兆3千億円から2兆円へと上方修正。背景には米国や中国での新車販売の伸びがある。

 CFOの近健太氏は「10~12月期は営業面の努力により増益に転じている。所在地別では足元3カ月でみると、各地域で増益を達成している」と説明。トヨタが得意とする原価改善効果は通常年間3千億円ほどの数値を出していたが、今期は第1四半期での生産台数減が響き、2千億円ほどに目減りする。

 だが、コロナ禍で生産計画が見通しにくい中でも今期は9車種の新型車を計画通りに投入。加えて「中古車マーケットのトヨタ車の残価が非常に高く、それが中国市場でも一般的になっている。品質面、修理のしやすさ、耐久性がご評価いただけている」(近氏)ことなど、クルマそのものの品質が評価された。

 一方で、自動車メーカーが直面している半導体不足ではトヨタ独自の調達網が光った。ホンダが10万台、日産自動車が15万台の減産となったが、トヨタは数千台で落ち着く見通し。近氏は「リーマン・ショック以降、供給が途絶えたことを踏まえ、『レスキュー』というシステムを作り上げて、どこにリスクがあるかを見えるようにする取り組みを続けていた」と語る。

 さらに、1次サプライヤーのみならず、その先の2次サプライヤーなど約1万社と直接コミュニケーションをとった。調達本部では1日10回くらい電話会議を行うなど、他社がコンチネンタルやボッシュなどの外資系サプライヤーに依存した供給網とは一線を画した。

 だが、今後は自動車の主戦場が電気自動車に移り変わる。テスラが年間50万台を販売し、時価総額でトヨタの約3倍に拡大している。電動化でトヨタが強みとしたこの調達網も変革を余儀なくされる。その中で自動車業界の潮流をトヨタが主導できるか。その力が試される。

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