2023-05-29

【ゴルフ場運営最大手】田代祐子・アコーディア・ゴルフ会長「ゴルフ人口はまだまだ増やせる!」

「コロナ禍で年配者の需要が減っても女性や若い人たちが増えた」─。このように語るのはゴルフ場運営大手のアコーディア・ゴルフ会長の田代祐子氏だ。これまで男性が接待をするというイメージが強かったゴルフ。それをカジュアルなスポーツに変えようとしている田代氏は「見方を少し変えれば、ゴルフ人口はまだまだ増やせる」と強調する。米国の大手会計事務所でキャリアをスタートさせ、米GEなどでリーダーとしての経験も積んだ田代氏が見据える同社の今後の姿とは。

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破綻したゴルフ場を買収し設立

 ─ アコーディア・ゴルフは全国170以上のゴルフ場を運営する業界最大手ですが、田代さんが同社の経営に参画した経緯から聞かせてください。

 田代 当社は2003年にゴルフ場の運営事業を開始したのですが、もともとの始まりは、1990年代の後半から預託金問題で日本のゴルフ場が破綻し始めたことにあります。そんなときに米投資会社のゴールドマン・サックスが経営難に陥ったゴルフ場を90カ所ほど買収して当社を設立しました。

 同時に、米企業再生ファンドのローンスターが同じように日本のゴルフ場を買い集めてPGMさんを設立。日本では当社とPGMさんという2つのゴルフ場グループが形成されました。どちらも設立から数年で東証一部上場企業になりました。上場を機にゴールドマン・サックスが株を手放し、大きな株主がいなくなりました。

 その後は、一般の方々や機関投資家などが株主となったことで、幅広く当社の株を保有する方たちが出てきました。そして2012年頃、アコーディアではいろいろとスキャンダルが起きるなど経営が不安定になったので、コーポレートガバナンスの強化のために社外取締役を招聘しようとなりました。そこで、女性でゴルフ業界に携わった経験があり、かつ国際ビジネスが分かる人を探しているということで、お声を掛けていただきました。

 ─ 白羽の矢が立ったのですね。来てみてどうでしたか。

 田代 私がアコーディアの社長に就任したのは4年後の16年だったのですが、12年の株主総会は大変でした。日本でも大変珍しく総会を2日間行い、PGMさんの親会社が株主提案を行い、アコーディアと対立。さらにはPGMさんが敵対的TOBを仕掛けてきました。

 結果的にこれらの提案は全て拒否され敵対的TOBは失敗に終わったのです。当時、大きな問題を色々と抱えていましたが、社外取締役だった私は、アコーディアは絶対良い会社になれるという確信を持っていました。

 ─ 田代さんがそう思った具体的な理由とは何ですか。

 田代 もともと日本のゴルフ場は絶対にビジネスモデルを変えなければならない節目を迎えていました。それをアコーディアであれば実現できると。アコーディア設立当初、アメリカンなプレースタイルや雰囲気、セルフサービスなどを導入しました。新たなサービスはアコーディアが業界でも先駆けて行っていたのです。

 この頃のスローガンは「イッツ・ア・ニューゲーム」。ゴルフをカジュアルで楽しいものにしようという意味で、もともと新しいことに挑戦するカルチャーがあったのです。日本のゴルフ業界を変えられるのはアコーディアしかない。そんな思いを最初から持っていました。


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