2023-05-25

「日米欧の国際連携で最先端の半導体を」ラピダス・小池淳義の決意

小池淳義・Rapidus社長

北海道で新工場を建設
総額5兆円規模の巨額投資に



「これまでいろいろな方と議論してきて、しっかりとした先端半導体の技術がないと、日本はダメになると何度も言ってきた。今は経済安全保障という面もあり、当社にフォローの風が吹いている。国際連携で2ナノ(ナノは10億分の1メートル)の先端半導体の量産技術を確立していく」

 こう語るのは、Rapidus(ラピダス)社長の小池淳義氏。

 昨年8月、次世代半導体の国産化を目指す新会社として設立されたラピダス。トヨタ自動車やNTTなどの大企業8社が出資し、経済産業省も700億円の補助金を投じて次世代半導体の国産化を後押ししている。

〝産業のコメ〟と言われる半導体の中で、同社がつくろうとしているのは、電子機器の〝頭脳〟を担う最先端のロジック半導体。ロジック半導体はスーパーコンピューターや最先端のAI(人工知能)に不可欠の半導体。軍事品などにも搭載される半導体は、米中対立などを背景に経済安全保障の観点から重要性が高まっており、国内での製造基盤強化は喫緊の課題である。

 ラピダスが目指すのは、回路線幅2ナノメートルの最先端半導体の生産技術の確立。半導体は回路の線幅が細いほど性能が高く、現在の先端品は3ナノメートル。半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子が先行し、両社は2025年に2ナノの量産を目指している。

 ラピダスは年内に北海道千歳市で新工場の建設を開始。2025年に竣工、2027年に2ナノの量産を開始する計画だ。総額5兆円規模の巨額投資になる見通しで、経産省も新たに2600億円の補助金投入を決定。まさに官民挙げての先端半導体づくりである。

 ただ、現状、日本で製造できるのは40ナノの製品にとどまり、業界関係者曰く「残念ながら日本は10年、20年遅れている」。

 3ナノに限らず、先端品とされる10ナノ以下の半導体は、約9割が台湾で製造されている。米中対立が激化する中、ひとたび台湾に有事が起きれば調達が滞る可能性が高い。そのため、政府はTSMCを誘致し、熊本に新工場を建設中。海外企業では異例といえる最大4760億円の補助金を投じて、国内での製造基盤強化を進めている。

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