2021-02-19

中部電力社長・林欣吾の「電力経営進化論」

林欣吾 中部電力社長




原子力の依存度が低く事業変革もしやすい



 今年で東日本大震災から10年が経つ。この間、電力業界では2016年に電力小売りが全面自由化し、企業間競争は激化した。

 ただ、電力業界を見渡すと、従来通り、原子力に依存したビジネスモデルを守ろうとしている企業が多い。原発が再稼働できれば、収益効果が大きく、電力市場で競争の優位性を保つことができるからだ。

 しかし、中部電力はもともと浜岡原発(静岡県御前崎市)しかなく、原子力への依存度が低い。それだけに事業の変革が最もしやすい企業でもある。

「現在はエネルギー事業が4分の3くらいを占めていて、エネルギーを送ることが大事なミッションになっている。ただ、2030年代にはエネルギー事業を維持・成長させながら、エネルギー事業から来る利益が半分、残り半分を海外や新規事業から創出できるような会社にしたい。今年は脱炭素に向けたチャレンジの年になる」(林氏)

 東電は実質国有化、関電も金品受領問題からの再生を余儀なくされており、業界の中で中電にかかる期待は大きい。林氏には業界を先導する役割と気概が求められている。

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