2023-04-10

国内ファンドの提案受け入れ 東芝が非上場化で経営再建へ

ようやくアクティビスト(物言う株主)との決別へ前進─。

 東芝(島田太郎社長)は日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内連合による買収提案を受け入れ、非上場化によって経営を再建することを決めた。JIPが7月下旬をめどにTOB(株式公開買い付け)を実施。TOB価格は1株4620円で、買収額は約2兆円。買収資金は金融機関の融資や、約20社からの出資でまかなう。

 焦点の一つは、JIPが3分の2以上の株式を取得してTOBが成立するかどうか。だが、東芝の大株主である海外投資ファンドは、株の売却に応じる可能性が高いとみられる。

 買収提案受け入れが発表された前日の3月23日の終値を、TOB価格は10%ほど上回る。足元の東芝の業績はハードディスク駆動装置(HDD)市況悪化の影響などで苦戦し、株価も下落基調にあった。ファンドにとっては〝潮時〟とも言える。

 これまで東芝は、経営陣が提案した会社分割案が臨時株主総会で否決されるなど、海外ファンドとの関係に苦しんできた。JIPによるTOBは経営の混乱を解消するきっかけになり得るが、成長戦略の迅速な実行につながるかは未知数だ。

 東芝はデジタルデータ活用事業を将来の収益の柱に位置付けてきたが、他社との競争は激しい。「この分野で勝ってこなかった東芝が、今後勝てるとは思えない」(アナリスト)と戦略の実効性を疑問視する声もある。

 また、東芝は国内連合の意向を無視できない。銀行団は「東芝は日本にとって重要な企業」(幹部)として約1兆4000億円を融資するが、確実な返済を期す観点で経営の監視に神経を尖らせることは必至。

〝船頭多くして船山に登る〟事態を繰り返さずに、再生への道を歩めるか。東芝経営陣の指導力が試される。

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