2021-02-13

帝国ホテルが観光客減少で「ホテルに住まう」事業を開始

「何もしないよりは少しでも新たな取り組みを行って客室の稼働を高めたいと考えた」と語るのは帝国ホテル関係者だ。

 コロナ禍で宴会需要は蒸発し、観光客の回復も見込めない帝国ホテル東京の足元の客室稼働率が1割前後と低迷中。そんな中、同社は1カ月単位で割安に長期滞在できるプラン「サービスアパートメント」を始める。

 オークウッドなどのホテル会社が展開するサービスアパートというと、一般的には建物を1棟使って各部屋にキッチンや洗濯機などの設備を設置するケースが多いが、帝国ホテルの場合は館内を区分けし、タワー館の3フロア99部屋を改装。価格は30泊36万円(30平方㍍の部屋)となり、単純計算すると1泊当たり1万2千円で泊まれるため、通常の宿泊プランより割安で宿泊することができる。

 帝国ホテルの新プランのポイントはサブスクリプションという月額定額でサービスが利用できる点だ。洗濯機や電子レンジを備えた共同利用スペースを無制限に使える上に、ルームサービスの食事やシャツなどホテルがもともと提供しているサービスも使うことができる。

 他にもフィットネスクラブなども無料で使えるため、同社にとっては「ホテルのリソースを使える」(同)ことになる。経営者や富裕層を対象に、地方の経営者の都心在住需要やセカンドハウスとしての使われ方を想定している。しかし、フタを開けてみると「結構、若年層の利用もあった」(同)。

 3月15日からの利用だが、既に99室は予約で埋まっている。他のホテル会社関係者も「興味深い」と視線を向ける。「ホテルに住まう」というコンセプトがコロナ禍での新生活様式の一つとして根付くかもしれない。

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