2023-03-10

【TVer】若生 伸子社長が語る「テレビの可能性を開放したい」

1953年にテレビ放送が始まって70年。そして今はそのテレビの立ち位置が大きく変わりつつあります。スマートフォンに代表されるデジタル端末が普及し、インターネット動画配信サービスが続々と登場。いつでも、どこでも好きな動画が見られるようになりました。

ヤフーとLINEが親会社 Zホールディングスと合併へ

 当社は2015年、在京民放5社、大手広告会社を株主として発足。「TVer」というテレビ番組の配信サービス事業を展開していますが、実は当初の目的はテレビ番組の違法ネット配信への対抗措置でした。この安心・安全なプラットフォーム運営に加え、テレビ番組の放送終了後、1週間、その番組を無料で見れる「見逃し配信」で多くの視聴者を惹きつけてきました。

 また、今ではドラマをリアルタイムで〝同時配信〟しているのですが、これも人気です。例えば、昨年10月に行われたプロ野球の日本シリーズ。TVerでは全試合をリアルタイム配信したのですが、特に拮抗した最終試合では、待ちきれずに帰宅途中にスマホで見たり、帰宅してからじっくりとテレビで観戦したりと、視聴者各自のライフスタイルに合わせた視聴方法を選んでいました。

 テレビの視聴方法に関しても10代のティーン層を中心に大きく変わっています。テレビ番組の1時間や2時間といった時間的なサイズには我慢できず、倍速で見たりする視聴者もいます。ドラマの見方も倍速で結果だけを知るとか、好きな俳優が登場するシーンだけを何回も見るといった視聴者もいます。

 TVerというアプリケーションであるからこそ、こういった視聴者の視聴方法の変化をいち早く掴むことができ、それに対応した新たなサービスを展開することができるのです。これまでのテレビではできなかった双方向のコミュニケーションがとれるようになりました。

 一方でTVerは別の側面を持っています。それが証明されたのが22年7月8日に起こった安倍晋三元首相の銃撃事件のとき。午前11時半くらいに事件が起き、午後0時半くらいからTVerで各局の報道特番をリアルタイム配信しました。

 このときはリアルタイムのレギュラーの時間帯ではありませんでしたが、各局と連携を取りながら対応することで、TVerは突発的な事件や事故、災害でも大きな役割が果たせると実感しました。この経験をモデルケースにし、視聴者に必要なメッセージを届けることができるようにしたいと考えています。

 既にこの試みは動き出しています。今年1月14日からTVerオリジナルバラエティー『褒めゴロ試合』を配信開始。クルマのサブスクリプションサービスを展開するKINTOによる初の1社提供番組です。同社も若い層にメッセージを届けたいという想いからTVerを選んでいただきました。

 さらに、地方創生にも寄与できるようになっています。TVerは地方の放送局とも連携しており、地方でしか見られない番組を首都圏の視聴者でも見ることができます。地方の魅力をどのような形で見せることができるか。可能性は広がります。

 お陰様で5000万DLを突破し、1週間当たり600番組を数える規模になりました。テレビは時代を映す鏡です。ドラマや笑い、ニュース、夢やロマン、処世術から身近な生活に寄り添うものまで、幅広いジャンルを楽しんでいただけます。

 テレビを開放する─。これが当社のミッションです。より視聴者に楽しんでもらうための仕掛けづくりに取り組んでいきたいと思っています。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事