企業は何のためにあるのか?
─ 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るってから3年、ロシアによるウクライナ侵攻も早1年が経ちました。世界が非常に混沌とする中で、経営の基本軸が求められていると思うのですが、柳井さんが今、思うことを聞かせてもらえませんか。
柳井 企業はもともと何のためにあるのか? ということですよね。社会や世界にとって、良い影響を与える。そういう組織や団体でない限り、金儲けだけやっても存在する価値がないと思うんですね。
これは中小企業でも、零細企業でも、大企業でも一緒だと思うんですけど、社会の公器だと思ってやった企業だけが永続して成長しています。だから、そこに自分中心みたいな人が入るとダメになる。本当の客観性というのはなかなか難しいのかもしれませんが、自分自身でよく考えて、客観的に正しいことは何か? と。
政府やメディアなど、いろいろな利害関係者が言っていることを鵜呑みにしたり、単純に信じたりしないようにしなければならないと思いますし、そういうことを追求していくしかないのではないでしょうか。
─ これは世界共通の考えだと。
柳井 共通です。皆さん、違いのことばかり主張するんですけど、8~9割は世界で共通していますよ。だったら、共通しているものを一緒にやればいいのではないかと思います。