2023-01-30

『ユニクロ』のファーストリテイリングが最大4割の賃上げ実施へ

写真はイメージ

『ユニクロ』などの運営を手掛けるファーストリテイリング(柳井正会長兼社長)が、今年3月から従業員の報酬を改定する。海外に比べて日本は報酬水準が低かったとして、世界水準での競争力と成長力を強化するため、従業員一人あたり、年収で数%~約40%の賃上げに踏み切る考えだ。

 具体的には、新入社員の初任給を現行の25万5千円から30万円(年収で約18%アップ)に、入社1~2年目で就任する新人店長は月収29万円から39万円(同約36%アップ)に増額。昨年9月からは国内店舗で働くパートやアルバイトの時給を改定しており、今回の報酬改定分と合わせて、人件費は前年比で15%程度増加する見通し。

 この狙いについて、グループ上席執行役員CFO(最高財務責任者)の岡﨑健氏は「店舗、本部ともに、世界で通用する働き方ができる人材に対し、成長できる機会を提供すると同時に報酬でも報いていく」と語る。

 ロシアによるウクライナ侵攻や資源・エネルギー価格の高騰を受け、食料品や光熱費、生活用品など、あらゆる製品価格が急速に値上がり。人手不足も相まって、消費者物価は1年間で約4%上昇した。このため、大企業を中心に賃上げを実施する企業が増えている。

 キヤノンは物価上昇に伴う従業員への支援として、1月から毎月の基本給を一律7千円引き上げる。今回の特別昇給と業績昇給を合わせると、管理職を除く組合員ベースで一人あたり3・8%の昇給となる見込み。

 また、サントリーホールディングスは月収ベースで6%の賃上げを検討、日本生命保険も7%、日揮ホールディングスは10%の賃上げを検討している。

 ある財界首脳は「この30年、日本企業は役員報酬や株主配当だけが増加し、社員の賃上げがなされてこなかった」と指摘。一方、ある中小企業のトップは「業績改善がなかなか進まず、賃上げの原資がない」と吐露しており、賃上げしたくてもできない企業もまだまだ多い。

 いかに製品値上げ・賃上げ・デフレ脱却という好循環を生み出していけるか。日本のデフレ脱却はこれからが正念場と言えそうだ。

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