【インタビュー】「元気なうちに体制を整え、事業構造を変えていく」
第2四半期決算について主力事業の「スパークプラグ」は補修用が大きな収益源になっており、各国で好調です。特に、アメリカ、中国が好調で、4月、5月は落ち込みましたが、OEM(新車組み付け用)の生産回復にしたがって、プラグもセンサも売上が戻ってきました。
その結果、9月の売上は過去最高で10月もかなり調子の良い状態なので、3Qまでは良い状態が期待できそうです。
コロナがまた流行り出し、欧州ではロックダウンが進んでいるので、その影響で市況が落ちるかもしれませんが、今期は、商品に恵まれ、何とか昨年並みの実績が残せそうです。
事業を取り巻く環境当社は約80年間、自動車産業とともに大きくなってきました。今でも売上の8割が自動車関連ですし、利益の約110%が自動車から出ています。
とはいえ、環境問題が世界的な課題となり、間違いなく市場が変わってきています。
内燃機関(エンジン)を用いた自動車のピークアウトが2030年~35年と言われていますが、当社が扱うプラグは補修用の市場が存在するので、その後も10年程度は利益を出せる状況ですが、その先はしんどくなります。
これからも安定した成長を続けるためにも、今、元気なうちに体制を整え、事業構造を変えていかなければなりません。
長期経営計画で目指す姿2040年の目指す姿として、これまでの延長線上にない変化を掲げています。2040年の目指す姿から〝バックキャスト〟し、「2030長期経営計画 日特BX」を策定しました。40年に向けて事業ポートフォリオを変えていきます。
当社はプラグを作るために設立された会社なので、今は、そこに合わせた本社機構やシステムになっています。
スピードの速い半導体や開発スパンの長い医療関係など、他の事業には合わない部分もたくさんあるため、長計に合わせて組織も変える必要があります。
例えば、カンパニー制にして、それぞれの事業が独自性を持って人事評価やスピードの速い事業運営ができるようにしていきます。
市場からは「本当にポートフォリオ転換ができるのか」と思われている部分もあります。実際、優秀な事業を持っている会社はポートフォリオを変えられないのも事実です。
ただ、やらなければ始まりません。新しいことへの挑戦は、成長の糧にもなります。
長計に向けて、具体的な取り組みを実行に移す4カ年の中期経営計画は2021年から始まります。最初の4年はカンパニー制への意向など、変えていくことに注力し、その先の5年で事業をしっかり成長させていく方針です。
本特殊陶業社長 川合 尊かわい・たけし1962年大阪府生まれ。87年京都工芸繊維大学大学院工芸学研究科修士修了後、日本特殊陶業入社、2011年自動車関連事業本部センサ事業部第2技術部長、12年執行役員、15年常務、15年取締役、16年専務、19年4月代表取締役社長 社長執行役員に就任。