2021-02-08

国際石油開発帝石会長・北村俊昭が語る「本業の深掘り・再創造」

北村俊昭・国際石油開発帝石会長

サステナブルな形でエネルギーの開発・供給を



 ―― 国際石油開発帝石会長の北村俊昭さん、エネルギー資源開発会社として2021年をどのように占いますか。

 北村 原油価格の推移を見ますと、2020年1月には1㌭60㌦を超える水準だったのですが、3月に30ドルを割り込み、4月には米原油先物が史上初のマイナス価格を付けました。

 世界的には、石油の60%は輸送用に使われていて、新型コロナウイルス感染症の拡大によって世界中で人の移動が制限されてしまった。これだけ急激に石油需要が減少したのは歴史上初めてだと思いますが、こうなると企業は投資を控えたり、コスト削減努力が必要になります。

 ですから、今の感じですと期待半分で、21年後半からようやく元に戻り始めて、コロナ前の状態に戻るのは2~3年かかるでしょうから、厳しい状態が今後も続くと思います。

 ―― そうした状況にあって、菅義偉首相は2050年にCO2(二酸化炭素)排出量を実質ゼロにすると宣言しましたね。

 北村 はい。われわれは息の長い事業を手掛けていますから、持続可能な形、サステナブルな形でエネルギーの開発・供給をしていくことは、われわれのミッションでもあります。

 従って、気候変動問題に対しては、これまでもいかに低炭素化・脱炭素化を進めるかという課題について、われわれは真正面から向き合ってきました。今回の菅総理の宣言はそうした方向がより定まったということだと理解しています。

 具体的にわれわれがどう行動するのかは3つあります。1つは足元で石油に比べてCO2排出量の少ないLNG(液化天然ガス)の開発を進めていく。豪州のイクシスプロジェクトはすでに順調に稼働していますが、今度はインドネシアでも同規模の巨大プロジェクトを準備中です。

 ―― まずは低炭素化に取り組むということですね。

 北村 ええ。2つ目は地熱や風力など再生可能エネルギーへの取り組みを強化していく。現在はインドネシアで世界最大規模の地熱発電所を稼働させていますが、地熱開発はこれまで石油・天然ガス開発で培った技術を応用できる分野ですので、更に拡大していきます。

 そして、3つ目が未来を見据えた技術です。当社の技術や資産を活用したCCUS(CO2の回収、利用、地下貯蔵)への取り組みを本格化させるとともに、将来有望な水素にも取り組んでいきます。低コスト、脱炭素の水素を大量に製造するには、CCS(CO2の回収、地下貯蔵)を組み合わせた天然ガスを利用することが最も効率的です。これは、当社にとってはいわば本業の深掘り、再創造ですので、難しいチャレンジではありますが、全力で取り組んでいきたいと考えています。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事