2021-02-01

JR東海が初の一時帰休を実施へ コロナで新幹線などの業務減

コロナ感染拡大に伴う移動の縮小に歯止めがかかっていない。2度目の緊急事態宣言を受けてJR東海が初の一時帰休を労働組合に提案した。JR本州3社では西日本に続く2社目となり、JR西も2度目の一時帰休を実施することを決めた。

「会社発足以来の厳しい経営環境」とJR東海。その言葉の通り、JR各社の置かれた環境は厳しさを増している。

 JR各社は3月の旅客運輸収入が新幹線で前年同月比50~60%、近距離が70~80%まで回復すると予測して業績予想を立てていた。

 しかし、各社の年末年始の実績を見てみると、新幹線が30~40%、近距離が60%前後にとどまっており、「Go To トラベル」の効果が表れた昨年11月よりも約10㌽悪化。

 2度目の緊急事態宣言を受けて1月18日から2月28日までの間、東海道新幹線の運行を1割減らし、1日平均345本だった本数は309本に減る。加えて、臨時列車の運行も全て取りやめる。

 本来であれば、以前より2本多い1時間当たりの「のぞみ」の運行本数が最大12本まで運転できるようになり、その効果が発揮される時期であった。

 今回の一時帰休はこの新幹線の運行本数の減少などに伴い、業務量が減ったことやコロナ感染防止が理由だ。賃金を支払いつつも、社員を休ませる一時帰休の実施で足元の逆風を凌ぐ考えだ。

 一時帰休の期間は1月25日から2月末までで、対象となるのは駅員や乗務員、工場の作業員など約9500人。1日当たり400人規模で行う予定だ。前回の緊急事態宣言時にはJR北海道、西、四国、九州が一時帰休を実施。民鉄でも西日本鉄道が昨年5月に1カ月間実施し、西鉄本体の社員とアルバイトを合わせた従業員約4600人のうち、1日に平均約2割が自宅待機になっていた。

 19年3月期実績で営業利益率が37・8%と高い収益構造を誇るJR東海でも新幹線を中心とした旅客需要の激減で、21年3月期の連結最終損益は1920億円の赤字を見込む。

「鉄道のコスト削減策は人件費が大半を占めるため、選択し得る最善の策」とアナリストは指摘する。

 3月以降については「社会情勢を見極めながら必要によって検討する」としており、予断を許さない状況が続く。

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