2021-02-05

アサヒGHD・小路明善社長兼CEO「30年後の社会を予測し、社会の変化に対応した事業構成を」

小路明善・アサヒグループホールディングス社長兼CEO

こうじ・あきよし
1951年長野県生まれ。75年青山学院大学法学部卒業後、アサヒビール入社。2000年人事戦略部長、01年執行役員経営戦略・人事戦略・事業計画推進担当、07年常務取締役、11年アサヒグループホールディングス取締役兼アサヒビール社長、16年アサヒグループホールディングス社長兼COO、18年から現職。

4つの買収条件

 ─ アサヒグループはグローバル経営を推進しています。その狙いと今後の展開について考え方を聞かせてください。

 小路 具体的には、私は4つの買収条件を設定しました。

 1つ目は、トップブランドを持っていること。あるいはトップブランドに近いブランドを持っている事業があること。2つ目は、そのトップブランドの事業が高い収益性をあげていること。3つ目は、生産効率と醸造技術が高いこと。そして4つ目は、その事業を経営するトップが優秀な人材であることです。

 実はこの4つを条件に掲げて、西ヨーロッパの会社も東ヨーロッパの会社も、オーストラリアのCUB(カールトン&ユナイテッドブリュワリーズ)も買収してきました。買収する前から、これらの会社はもともときちんと任せれば経営できるというディールであり、そして人材も揃っている会社だったわけです。

 買収資金総額約2兆4000億円を投じて買収した西ヨーロッパも東ヨーロッパもオーストラリアのCUBも優秀な人材は1人も欠けていません。買収から4年経っても残っています。

 特に減損もしてきていませんし、欧州も豪州も計画を上回る実績を上げてきています。中でも欧州の利益成長は年平均10%で高めていくと。世界2位のハイネケンにも十分伍して戦っていますし、豪州も昨年6月の買収以降、12月までの間では、我々が買収後に作った計画を若干上回る形で推移しています。

 もともと私自身もアサヒグループも、そういう理由でグローバル事業については学習していきました。特に「Think Globally,Act Locally(シンク・グローバリー、アクト・ローカリー)」という言葉を使って、世界の事業から学んできたのです。

 そして我々ホールディングスも各事業会社も、世界の事業から学んだことをホールディングスがローカルに落とし込んで、経営能力を高めていくと。「アクト・ローカリー」とは、それをローカルなり、ホールディングスが実践に移していくということで、あえて失敗しないディールをいかに探し込んで相対でやるかということです。

 これらの買収した事業は全て、世界トップのアンハイザー・ブッシュ・インベブのディールになります。この買収を通じて同社CEOのカルロス・ブリト氏とは非常に親しくなりまして、いろいろな意見交換をする関係ができました。ですから、欧州に次ぐ豪州のCUBは入札ではなく、相対で契約することができたということです。

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