2022-11-21

NTTが新たな人事給与制度 新卒初任給を14%引き上げへ

いかに賃金アップにつなげて日本の経済再生を図るか 

 NTTグループが新たな人事給与制度に踏み切る。社員一人ひとりが今まで以上に高い専門性とスキルを獲得・発揮するため、NTTやNTTドコモ、NTT東日本・西日本など、国内の主要グループ会社を対象に、2023年4月から年次や年数などの要件を廃止。各業務に求められる専門性の獲得度合いに応じて昇給・昇格する仕組みへ移行する考えだ。 

 また、NTT社長の島田明氏は新卒の採用給の引上げについても言及。これまでの一般的な大卒の初任給は21・9万円だったが、23年4月以降は従来に比べて14%アップの25万円。さらに専門的な能力を持つと判断した人材は27・2万円と24%アップする。 

 IT技術の革新は目覚ましく、デジタル人材の獲得はGAFAM(グーグル、アップル、メタプラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)を含めて、世界的に競争が激化しており、NTTも待遇を改善することで優秀な人材の獲得を目指している。 

 いまの日本は生産性を向上し、いかに賃金アップにつなげて経済再生を図るかが大きな課題。産業界の中では、サイバーエージェントが、23年4月入社の新卒初任給を34万円から42万円に引き上げる考えの他、GMOインターネットグループも新卒から2年間は年収を710万円にする新たなプログラムを導入する方針を表明している。 

 ただ、中小企業からは「原材料価格の高騰を値上げできればいいが、現実的に賃上げするのは難しい」という声も根強い。 

 そうした流れの中でのNTTの動き。今後は業界での横並びや古い慣習にとらわれない給与体系や働き方を模索する企業が増えそうだ。

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