経営者が心すべきことは…
―― 独立系半導体商社のマクニカは今年で創立50周年を迎えました。神山さんが26歳の時の創業だったわけですが、この50年を振り返って、今はどんな思いでいますか。
神山 気づけばあっという間の50年でしたね。当社は『技術商社』を看板に掲げ、まだ知られていない最先端のテクノロジーを発掘して、お客さんにお届けする提案型の技術商社として成長してきました。
われわれは商社ですが、単に商品を右から左に流すだけの会社であれば、ここまで来ることはできなかったと思います。会社を設立した当初から半導体や集積回路を集めるだけでなく、こうした技術が求められているなと感じれば、自ら電子機器の装置を企画し、開発して出していこうと。
そこが他社との違いになっていて、そうなると売り込みも自分でやらなければなりませんし、技術説明も自分で行わなければなりません。そうやって世の中の変化に対応し、自らのビジネスモデルを変化させていったことが、ここまで来ることのできた要因だと思います。
―― 創業以来、一度も営業赤字がゼロというのは、変化に対応してきたからだと。
神山 ええ。営業赤字は一度もありません。
もちろん、50年の間には資金繰りに苦労したり、何度か厳しい時期もありましたよ。その時は経費をカットして、社長自らの給料は半分にする。役員の給料も2割のカット、部長も1割カットをお願いして、景気が良くなったら皆に還元するから、今は耐えてくれと。それで危機を乗り越えることができたら、ボーナスできちんと社員に報いると。だから、苦労はそれなりにありました。
集積回路にしろ、他の自社開発商品にしろ、よくもこんなに失敗したなというくらい、失敗や撤退はいくつも繰り返しました。ようやく完成した商品を販売した途端、市況が悪化したとか、市況が良いのに為替が変わって、1㌦=300円くらいだったのが180円くらいになって、採算が合わないから撤退するとか。