2022-11-13

【ずいひつ】池田ピアノ運送・池田輝男社長が語る「メイク研修のある運送会社 業界の底上げに寄与したい!」

研修室に集まった一同が顔にクリームを塗り、開運顔になるためのマッサージ。さらに、会った人の印象がガラリと変わる眉毛もしっかり手入れする……。これが今年8月、当社で実施したメイク研修の様子です。

【ずいひつ】新見ソーラーカンパニー・佐久本秀行社長が語る「日本は資源輸出国になれる!」

 当社は女性が主力の会社ではありません。ピアノをはじめ、大型家電やフィットネス器具、OA機器、通信設備機器、音響製品、印刷機器などの配送や引っ越しを手掛ける運送会社です。そして、メイク研修を受けているのは男性の職人たちです。

 運送業界と聞くと、皆さんがイメージするのは3K(臭い・汚い・きつい)でしょう。下請けの要素が強いことから業界全体にマイナスなイメージが植え付けられてしまったことはあるかもしれませんが、最大の要因はドライバーなどの職人が顧客目線に立たず、自分を卑下してしまうことにあると感じます。

 運送とは素人ができる作業ではありません。まして、ピアノや精密機器といった大きくて重たいものを狭い通路を移動させながら壁に傷1つ付けずに運ぶ作業は熟練の技がなければ決してできることではありません。

 それなのに、なぜ運賃だけで競争するのか。なぜ自分の子供に誇れる仕事だと言えないのか。私はもともと運送業界の人間ではなかったのですが、当社に転生し、職人の働きと技術力を目の当たりにして驚きました。

 同時に思ったことは、運送業界の常識は世間の非常識であるということです。お客様に対して挨拶ができない。「かしこまりました」といった言葉遣いが徹底されていない。お辞儀ができていない。どれも社会人なら誰もが身に付けているマナーです。

 ただ、ここでふと思ったのです。運送業界で非常識なことは世間の常識であると。つまり、職人たちが「かしこまりました」というだけで、それが付加価値になるということです。前述した通り、既に技術はある。さらに言えば、技能は他社も持っている。しかし、そういった技術・技能に加えて、明るい笑顔を絶やさず、礼儀正しい職人であれば、業界で光る存在になれる。

 そう考えた私は早速取り掛かりました。全社員を上げての社内清掃・点検などを実施。創業者が50年前に創業し、サービスを企業文化として継承していくためには、丁寧な仕事を基軸とした組織風土づくりは欠かせません。その心構えとして清掃することは必要不可欠です。

 そして挨拶の仕方や礼儀作法を学ぶマナー研修を行い、さらにはサービス精神だけではなく、外見も美しくするべきだと考えて始めたのが「〝美〟活プロジェクト」。その第1弾として冒頭のメイク研修を行いました。また、私自ら顔相学の鑑定士の資格を取得しており、サービスの理想の笑顔を追求してきました。ちなみに、社員には美容室手当の支給を検討しています。

 もちろん、本業への投資も欠かしません。新型トラックの置き換えやユニフォームも業界では珍しいオレンジを基調としたものに刷新しました。

 私の取り組みに対し、職人たちも最初は戸惑っていましたが、お客様からの反応が職人たちを変えました。お褒めの言葉をいただくことで、自ずと職人たちの意識もガラリと変わったのです。そして、仕事を楽しんでいる父親がいれば家族も喜びます。

 運送という仕事は世の中にはなくてはならない素晴らしい仕事だと思います。だからこそ、当社だけではなく、業界全体が底上げされてくることが必要です。当社の取り組みが業界底上げのための一助になればと期待し、お客様から「ありがとう」を集めていきたいと思います。


池田 輝男
いけだ・てるお
[池田ピアノ運送代表取締役]

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事