2021-01-26

ファミリーマート次期社長に細見氏 親会社 伊藤忠・岡藤会長の「秘蔵っ子」

ファミリーマート次期社長の細見研介氏(左)と現社長の澤田貴司氏



「EC(電子商取引)などとの競争激化、コロナ禍で人々のライフスタイルが急激に変化している。嵐の中の船出となるが、
次の10年の成長の礎を築くことが役目だと考えている」

 こう語るのは、伊藤忠商事執行役員の細見研介氏(58)。 

 コンビニエンスストア大手・ファミリーマートが3月1日付で、社長の澤田貴司氏(63)が代表権のある副会長に昇格する
人事を発表。次期社長には親会社・伊藤忠の細見氏が就任、会長の髙柳浩二氏(69)は代表権のない会長になる。

 伊藤忠の完全子会社となり、2020年11月に上場廃止となったファミリーマート。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う外出自粛の影響もあって、中間期(20年3‐8月期)の決算では107億円の最終赤字に転落していた。

 セブン-イレブン・ジャパンを傘下に置くセブン&アイ・ホールディングスやローソンが黒字を確保する中、業績の立て直しは喫緊の課題。そうした中、親会社の伊藤忠から細見氏が送り込まれてきた形だ。

 細見氏は1962年大阪府生まれ。86年神戸大学経営学部卒業後、伊藤忠商事入社。主に繊維畑を歩み、高級ブランド「ハンティングワールド」日本法人へ出向した時期もある。

 内外で「経歴の似ている伊藤忠会長、岡藤正広氏の秘蔵っ子」と言われ、2019年からは岡藤氏の肝いりで設立した、顧客起点の新事業を創造する新組織「第8カンパニー」のプレジデントに就任している。

 長年成長を続けてきたコンビニ業界だが、近年は深刻な人手足や24時間営業への賛否、フードロス問題などが指摘されるようになった他、米アマゾンに代表されるネット通販企業の台頭もあって、市場飽和が叫ばれている。

 ただ、食品や物流など様々な経営資源を持つ商社にとって、コンビニは自らの得意技を活かせる魅力的な市場。細見氏は「『商品開発』、『利便性』、『親しめるお店』の3点を重視していく。一発逆転の策はなく、基本に立ち返り、小さな種を撒き続ける努力を続けることしかないと考えている」と語る。

 伊藤忠との連携強化で、コンビニの機能強化や新たなサービスを拡充することはできるか。

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