2021-01-24

テレワークの負の側面をどう解消するか? GMOインターネットグループ代表・熊谷正寿氏が語る解決策とはーー

熊谷正寿・GMOインターネットグループ代表

テレワークのデメリットを防ぐ仕組みが必要

 ── インターネットの旗手でもあるGMOインターネットグループ代表の熊谷正寿さん、コロナ後の事業展開は?

 熊谷 コロナ禍は世の中を一気に進めた側面があると思います。5G(高速通信規格)の普及によって世の中のIT化が進展すると思っていたのですが、実際にはコロナによって迅速なIT化、DX化が図られたと感じています。

 対面原則など日本は世界に比べてIT化が遅れ、それが社会の進展にブレーキをかけていた部分もあったので、そこに修正が加えられたと思っています。

 コロナが終息したら世の中が元に戻るかというと、そうではなく、コロナによって起きた社会のDX化は今後も続くと見ています。世の中はコロナ慣れしている部分もありますが、われわれに対する需要が減っているかというと、高止まりしている状況で、お客様のニーズは増えています。結果として、わたしどものビジネスチャンスも継続すると思っています。

 ── コロナ禍では、いち早くテレワークに移行しました。

 熊谷 テレワークは今後もありとあらゆる企業が採用してくると思います。場所を問わないので従業員であるパートナーのQOL(Quality of life)を向上させ、国境を越えて優秀な人財を採用することもできます。

 ただ、デメリットもあります。テレワークが原因で精神的、肉体的コンディションが悪くなる人が1割弱出てきてしまっています。

 家でのテレワークはお子さんの面倒を見たり、テレビを見たりして、時間あたりの生産性、作業量が落ちるんです。そうすると、就業時間があいまいになって勤務時間が長くなる。実際の業務自体はこなせているように見えるのですが、外に出ないので運動量が減って、精神状態が悪化していく。

 ですので、無造作にテレワークを導入すると従業員のコンディション悪化や会社に対する帰属意識の低下、モチベーションの低下など、業績に悪影響を及ぼすことになってしまいます。こうしたテレワークの問題点にきちんと対応することが、企業にとって重要になってきます。

 ── 21年は創立30周年の節目の年です。

 熊谷 あっという間の30年で、全力疾走をして今日に至っています。振り返る時間もなかったという感じです。

 正直、今も先しか見ていません。ただ、IT化が急速に進んでいるので、今は自分たちの実力以上のことが起きていると感じています。

 スポーツに例えるとサーフィンで、波に押し上げられて、その上にうまく乗れている状態です。ですので、これからも仲間たちの力を借りながら、グループ全体が波の力を得て、一番先端でサーフィンできるように頑張っていこうと思っています。

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