2022-09-26

【財務省】概算要求総額は過去2番目 さらに膨らむ可能性も

8月末に締め切られた2023年度当初予算の概算要求は110兆484億円となった。債務償還費の要求額に全額繰り入れていた前年度剰余金が減った影響で、国債費の要求額が前年度比約3兆円減となったことで総額は5年ぶりに前年度を下回った。ただ、要求金額を示さない「事項要求」も多く、予算編成の作業の過程で総額は膨らむ可能性がある。

 鈴木俊一財務相は9月6日の記者会見で、「新型コロナウイルスや物価高など日本が直面する重要課題への取り組みを本格化するため予算を大胆に重点化する」と強調。その上で「日本の財政は依然厳しい状況だ」と指摘。「財政規律が緩んだといわれることがないよう、歳出改革をしっかりと進め、経済再生と財政健全化の両立を図っていく」と強調した。「質の高い予算を議論しながら作り上げていく」とも語った。

 だが、予算編成の本格化を前に、早くも岸田文雄政権の経済運営に火種がくすぶり始めた。

 9月に入り、政府が追加の物価高対策として住民税非課税世帯を対象に1人当たり5万円を支給する案が浮上すると、自民党内からは「低所得者だけにばらまいても効果は限定的だ」(閣僚経験者)と“身内”から批判が相次いだ。

 岸田政権は8月以降、安倍晋三元首相の国葬への対応や、自民議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が発覚したことで内閣支持率が下落し「首相は焦っている」(首相周辺)。自民党内には「首相も鈴木氏も官邸も財務省幹部の言いなり」(中堅)と批判的な声は根強い。岸田政権は予算編成をめぐる駆け引きを乗り切り、政権浮揚につなげられるか。

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