2022-09-16

【国土交通省】ローカル鉄道の有識者検討会が提言まとめる

赤字が続くローカル鉄道の在り方を議論してきた国土交通省の有識者検討会が7月、提言をまとめた。利用者が少ない区間について、関係者間でバスへの転換を含めた見直しの協議に入る新たな枠組みの創設を提案。対象は、1㌔当たりの1日平均利用者数(輸送密度)が「1000人未満」といった目安を示した。

 新たな枠組みは「特定線区再構築協議会」(仮称)。設置の目安として、当面は平常時の輸送密度が1000人を下回ることを提示した。ただ、通勤や通学の利便性も考慮し、ピークとなる1時間に隣接する駅の間の乗客が500人を上回る場合は除外する考えも示した。

 鉄道局幹部は、目安について「数字を出さない択肢もあった」と明かす。一方で「輸送密度はJRが公開しており、誰でも手に入る。目安を示せば、地域の関係者も事業者も『大体これくらいになると(路線維持が)厳しい』という共通理解を形成しやすくなる」と、その意義を強調する。

 提言を受け、同局は関連法案の改正も検討している。23年度から各地域で新たな枠組みを活用してもらえるよう、準備を進める構えだ。ある省幹部は見直し協議について、「地域で話し合い、多くの人を運ぶ鉄道という輸送手段が本当に適しているのか考えてもらいたいという趣旨だ」と強調。「その結果、地域のシンボルとして『残す』という選択をするのなら、それはそれでいいと思う」と話す。

 しかし、ある政務三役経験者は自身の地元での例を挙げ、「路線の誘致時を知っている住民もおり、ローカル鉄道にはなじみが深いのも事実だ。赤字路線と分かっていても、廃線の理解を住民から得るのはなかなか難しいかもしれない」と語り、協議が難航する可能性もあるとみていた。

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