2021-01-21

クルマから「モビリティー」へ トヨタが「eパレット」を進化

写真はトヨタ自動車提供

「日本各地の様々な場所で運行したい。現在多くの自治体や医療機関、企業などと議論を重ねている。開発をどんどん加速させたい」─。トヨタ自動車の社内組織であるコネクティッドカンパニー・プレジデントの山本圭司氏はこのように強調する。

 トヨタは2021年の東京五輪などに活用される自動運転技術のEV「eパレット」の走行を安全かつ効率的に行う「運行管理システム」を開発した。路上でeパレット同士が出会うと、一方が通行を譲るなど、安全な走行ができるようにしている。

 かねてより社長の豊田章男氏は「モビリティー・カンパニーへの変革」を訴えてきたが、eパレットはその具体化の第一歩と言えそうで、シャトルバスや宅配、移動店舗・移動オフィスなどMaaS(移動のサービス化)としての活用を想定する。

 今後、CASE(つながる・自動運転・共有・電動化)の流れが加速すれば、クルマの価値はハードからソフトに比重が移る。電子制御ユニットがパワートレーンや車体などの部品ごとに搭載され、それらの複雑な統合制御が差別化の要素となっていた時代から、車両の全体制御を行うクルマ向けの基本ソフト(OS)が中央管理し、ソフトで機能を更新する時代に移る。これはスマートフォンの機能がソ
フトで更新されるのと同じで、米テスラの「モデル3」は、既にこの仕組みを搭載している。

 トヨタも独自の開発プラットフォーム「アリーン」を開発。ソフトで機能を更新できれば、クルマの買い替えサイクルは長期化する。その際、クルマの耐久性や修理のしやすさなどが重要となる。豊田氏が「トヨタのハードの強みが出てくる」と語るのは、そのためだ。このものづくりの力はテスラにはない。

 足元の時価総額ではそのテスラの後塵を拝するトヨタ。eパレットは21年2月着工予定の「ウーブンシティ」にも導入され、更なるデータの蓄積が図れる。既存のものづくりの力と最先端ソフトを組み合わせるトヨタの戦略がどれほどの競争力を持つのか、試されることにな
る。

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