2022-08-09

【最高倍率111倍の部屋も登場!】「晴海フラッグ」になぜ今、人気が殺到するのか?

「晴海フラッグ」の完成予想図

首都圏の新築マンションは価格高騰が続く。2021年度の平均価格はバブル期を超えたと話題にもなった。一般サラリーマンには手が届かないと言われる中で、「最後の希望」とも言われる物件が、東京都中央区晴海で販売中の大規模マンション「晴海フラッグ」。東京五輪の選手村としても知られるが、販売時の抽選で最高倍率111倍を記録した部屋も出ている。なぜ、この時期、晴海フラッグに人が集まるのか。

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東京五輪後に申し込みが急増


「何といっても価格が安い。それに尽きる」─こう話すのは都内の大手企業に勤める30代の男性会社員。

 男性は都内でマンション購入を検討していた。家族は共働きの妻と3人の子供がおり、現在の東京23区内で暮らす賃貸住宅は手狭になりつつあった。

 そこで注目したのが、東京都中央区晴海の「晴海フラッグ」。東京オリンピック・パラリンピックの選手が宿泊する選手村としても注目された物件。約13ヘクタールの敷地にタワーマンション・中層マンションの分譲住宅が4145戸、賃貸住宅(シニア住宅、シェアハウス含む)が1487戸の合計5632戸という大規模マンション。

 広さは平均で84平方メートル、100平方メートルを超える住戸が300戸と、非常に余裕のある造り。最近の首都圏新築マンションの平均専有面積が65平方メートルを割っていることを考えると貴重な広さ。

 最寄り駅は都営地下鉄大江戸線の勝どき駅だが、徒歩で17~21分かかるため、交通利便性がいいとは言えない。だが、冒頭の発言にあるように、物件の平均坪単価は300万円を切っている。中央区のマンションの平均坪単価は400万円弱のため、これを大きく下回っている。

 ただ、面積が広い分、総額自体は高い。しかし、この男性会社員は「中央区アドレスでこの価格は二度と出てこない。支払いは楽ではないが、払えないことはない」と購入に前向きだった。しかし妻の勤務先から遠くなること、3人の子供達の転校などを考えて、最終的には申し込みを見送った。この男性会社員の周囲にも、晴海フラッグの購入を検討する人が多いという。

 実際の販売状況はどうなっているのか。

 晴海フラッグは戸数が多いため、段階的に販売を進めている。東京五輪前に2回、五輪後に3回の販売機会があったが、五輪後の3回目には最高倍率111倍を記録した部屋が出るなど、申し込みが殺到。7月の5回目の販売時にも最高倍率96倍の部屋があった。

 3回目の販売時の平均倍率が約8.7倍、4回目が約6.6倍、5回目が13.8倍となった。三井不動産レジデンシャル都市開発三部事業室主管で晴海フラッグ販売センター所長の古谷歩氏は「これまで長くマンション営業をしてきたが、見たことがない倍率。五輪前から検討されていた方々の需要は落ちず、五輪後に新たな層が上乗せされた形」と話す。

「コロナ禍を経て、住まいに対して求めるもの、価値観が大きく変わったように感じる。自宅や自宅周辺で過ごす時間が増え、交通利便性だけでなく部屋の広さ、自然環境などが重視されるようになった。『ゆとり』をテーマにつくってきたことが、時代にマッチしたのではないか」(古谷氏)

 都心で手に入りにくい70~90平方メートルの部屋があることで需要は強く、モデルルームの予約すら取りにくい状況が続く。投資目的の購入希望者もいるが「大半は実需目的」(同)。

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