2022-08-07

【経済産業省】「サハリン2」途絶リスクも 米豪にLNG増産を要請

オーストラリア・シドニーに訪問した萩生田光一経済産業相は、米国や豪州のエネルギー分野の関係閣僚と個別に会談し、液化天然ガス(LNG)増産を改めて要請した。日本の大手商社が参画するロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」からのLNG供給が途絶するリスクがくすぶっていることを受け、ロシア依存の低減を目指す。

 サハリン2のLNG生産量(2021年)は960万㌧。このうち600万トンが日本向けで、ロシア産の総輸入量(657万㌧)の9割を占める計算になる。先進7カ国(G7)は、主要産業のエネルギー分野の収入が戦費に充てられているとして、対ロ依存度を段階的に引き下げる方針を決定した。

 一方、日本はサハリン2について、「長期かつ安価なエネルギーの供給源」(萩生田氏)と捉え、権益を維持したい考え。

 ただ、日本が思い描くようにサハリン2から引き続きLNGの供給を受けられるかどうかは不透明な状況だ。ロシアのプーチン大統領、は経済制裁を実施する日本をけん制するため、サハリン2を事実上接収する大統領令に署名。日本政府は、事業に参画する三菱商事や三井物産が出資を継続できるよう後押しする考えだが、ロシア側がエネルギー自給率の低い日本の足元を見て、厳しい条件を突きつけてくる可能性は十分ある。

 火力発電所の休廃止などに伴い、今年の夏と冬の電力供給はただでさえ厳しい。大規模停電の回避が最優先課題となる中、仮にサハリン2からのLNG出荷が止まれば、電力需給はさらに逼迫(ひっぱく)する上、電気・ガス料金の値上げは避けられない。

 政府は、原発再稼働の推進や、節電に協力した家庭に2000円分のポイントを付与する制度など、あらゆる政策を総動員し、不測の事態も念頭に置いた対応を急ぐ方針だ。

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