2022-07-26

【農林水産省】農産物の価格高騰続く中、G7が食料支援に45億ドル

日米欧の先進7カ国(G7)は、ロシアのウクライナ侵攻で小麦をはじめとして農産物の価格が高騰していることを受け、45億㌦(6100億円)を拠出し、開発途上国への食料支援などに充てることを決めた。

 G7首脳会議(サミット)が採択した食料安全保障に関する声明に盛り込んだ。日本はこのうち2億㌦(270億円)を分担する。

 声明はウクライナ危機や新型コロナウイルス感染症などにより、「2022年に世界で最大3億2300万人が深刻な食糧不足状態に陥る」と指摘。その上で、戦争が食料価格の高騰やサプライチェーン上の混乱を引き起こしているとして、「重大な責任を有する」とロシアを非難した。

 ロシア軍による黒海の封鎖を受け、ウクライナ産小麦などの輸出が滞り、6月時点で約2千万㌧の穀物が同国内に滞留している。このため、ウクライナ産に依存する中東やアフリカではパンの価格が跳ね上がり、市民生活に悪影響を与えている。

 G7は世界の食料安全保障を強化し、飢餓を回避するため、開発途上国への食料支援に加え、ウクライナ産穀物を円滑に輸出できるよう保管施設の建設などを支援する考えだ。

 岸田文雄首相はサミット閉幕後の記者会見で「G7として国際社会と共に結束していくことで一致し、わが国も秋の収穫期が迫っている穀物の貯蔵能力の拡大支援を行う」と述べた。

 G7声明は、円滑な輸出再開に向け、黒海封鎖やインフラの破壊などといった行為について、無条件で終えるようロシア側に求めた。しかし、ロシアはG7による経済制裁が食料やエネルギーの価格上昇につながっていると強調。G7が制裁を解除すべきだと主張しており、議論がかみ合わない。

 ウクライナによると、戦争が長期化すれば、秋には7500万㌧の穀物が在庫として積み上がる可能性がある。その場合、さらなる物価高を招き、中東やアフリカで政情不安が起きる懸念もくすぶる。

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