2021-01-14

課題解決へ、前例のない事態に斬り込む 三菱UFJ銀行次期頭取・半沢淳一の覚悟

左から、亀澤宏規・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長、半沢淳一・三菱UFJ銀行次期頭取、三毛兼承・同頭取

過去の重要案件に携わってきた経験


「コロナ後を展望すると、金融界は変革と躍動の時代に向かうと前向きに捉えている。だが、走り続けなければ、この激しい変化の時代に適応できない」と話すのは、三菱UFJ銀行次期頭取の半沢淳一氏。

 2020年12月24日、三菱UFJ銀行はトップ人事を発表した。21年4月1日付で頭取に取締役常務執行役員の半沢氏が就任。頭取の三毛兼承氏は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)会長に、MUFG会長の平野信行氏は取締役となり、6月で退任する。

 半沢氏は1965年1月埼玉県生まれ。88年東京大学経済学部卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。これまで企画畑を中心に歩み、01年の東京三菱銀行、三菱信託銀行、日本信託銀行の経営統合に携わった。当時前例のなかった持ち株会社方式での統合をリードし「ある意味で、今のMUFGの礎を築いた」(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長・亀澤宏規氏)と評される。

 その後のUFJホールディングスとの統合、リーマン・ショックや東日本大震災への対応、さらには三菱UFJ信託銀行との法人貸出の業務統合など、MUFGの重要局面、難局時には常にそこに半沢氏の姿があった。

 冒頭の半沢氏の言葉にあるように、金融は変革の時代を迎えている。異業種の参入など外部からの風にさらされていることに加え、特に商業銀行は長期化する低金利で収益の低下が続く。

 MUFG社長の亀澤氏は今後の商業銀行のあり方について、「従来のやり方の変革と、新たなタイプのお客様との接点、サービスの作り方にチャンスがある」と話す。

 その意味で今回、半沢氏は常務から13人抜きの昇格で大幅な若返りとなる他、かねてから将来のトップ候補として期待されてきた「本命」の登板であることも注目されているが、今やそうした従来の枠組みで捉えられる時代ではない。

 半沢氏は国内商業銀行部門の今後に関して「マクロのマーケットとして伸びるかというと厳しい。しかしデジタルシフトを受けて、個別行としては取り組みようによっては成長することが可能」と強調。半沢氏に問われるのは、前述の持ち株会社方式の統合や、危機対応といった「前例のない」取り組みに対処してきた経験を生かすことができるかである。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事