2022-07-01

【厚生労働省】女性支援の弾みとなるか 「困難女性支援法」が成立

貧困や家庭内暴力(DV)などに直面する女性の自立に向けて公的支援を強化する困難女性支援法が成立した。包括的な援助に当たる「女性相談支援センター」の設置を都道府県に義務付けることなどが柱。女性支援の根拠法となっていた売春防止法の古い規定も削除する。

 新型コロナウイルスの感染拡大も影響し、貧困やDV、虐待で居場所を失ったり、性犯罪に巻き込まれる女性の問題が浮き彫りになった。ただ、こうした人への支援は、売春を行う恐れがある女性の保護更生を目的として1956年に制定された売春防止法が根拠となっており、当事者に寄り添った支援が不十分との指摘が出ていた。

 新法では、女性の補導処分や保護更生に関する売春防止法の規定の削除を盛り込んだ。その上で、さまざまな事情で問題を抱える女性を支援対象として明記。国が支援に関する基本方針を示し、それに基づき都道府県が計画を策定することを義務付けた。

 立法に携わった一人、立憲民主党の阿部知子衆院議員は、「追い込まれた女性が『生きていていいんだ』と思えるようにするための支援法」と強調する。

 また、10代~20代の若年女性支援においては、NPO法人など民間団体の取り組みが進んでいるとされ、新法では、民間支援団体に対する自治体の補助などを求めている。厚労省ではすでに、そうした民間団体と連携した支援事業を促すため、自治体に対して財政支援を行っている。

 しかし、21年度に利用申請があったのは札幌市、東京都、福岡県の3団体のみ。同省子ども家庭局幹部は「どの地域にも困窮した女性はいるはずだが、取り組みには地域差があるのが現状だ」と明かす一方、「新法ができたことで、全国の自治体が女性支援に向けて動きやすくなる」と説明している。

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