2022-06-30

【総務省】郊外転出も一服か 東京転入超過続く

総務省が毎月公表する住民基本台帳人口移動報告で、東京都への転入者が転出者を上回る「転入超過」が今年1月から4カ月連続で続いている。3月と4月は例年、進学や就職に伴う転入が多いとはいえ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で広がっていた関東の近隣県などへ転出する動きがここに来て一服している可能性がある。

 総務省によると、3月の東京への転入者は前年同月比1.5%増の9万8812人。これに対し、転出者は5.6%減の6万5641人で、転入超過数は3万3171人と前年を5368人上回った。4月は転入者、転出者ともに減少したが、転出者の減少幅の方が大きく、転入超過数は4374人で前年より2026人多かった。

 新型コロナの感染拡大で、東京では20年5月に転出者が転入者を初めて上回った。それ以降、転出超過となる月が相次ぎ、東京一極集中に変化の兆しが出ていた。

 背景にあったのはテレワークの普及をはじめとした働き方の変化だ。都心から離れた場所でもリモートで仕事ができる環境の整備が進み、子育て世代を中心に東京近郊の自治体へ移住する動きが出ていた。21年の年間で見ると、東京の転入超過数は5433人で、2年連続で過去最少を更新。23区では初めて転出超過となった。

 こうした中、都市から地方への人の流れを取り込もうと、リモートワークが可能な施設を整備したりする自治体が続出。安倍政権が掲げた「地方創生」では目立った成果が上がらず、手詰まり感もあったが、コロナ禍を機に、東京一極集中の流れにストップがかかるとの期待が地方関係者の間で広がっていた。

 新型コロナの感染状況は全国的に落ち着いた状況が続いており、政府は6月1日には水際対策を大幅に緩和。1日当たりの入国者数の上限を2万人に倍増させた。いずれ、社会経済活動の本格的な再開に舵を切る場面を迎えることになりそうだが、東京一極集中が再び加速してしまわないよう、新たな働き方を定着させ、地方移住の動きを止めないための対策が求められる。

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