2021-01-14

沿線開発からワーケーションまで、JR東と西武HDが包括提携

年末年始も利用客が戻らず、苦戦する鉄道業界。その中でJR東日本と西武ホールディングス(HD)が新しい働き方などを提案する事業で連携する。軸になるのは旅先で仕事をする「ワーケーション」だ。

 新幹線をはじめ、地方各地に幅広い路線網を敷くJR東日本と、同じく地方にレジャーやホテル施設を保有する西武HDが自社のサービスを組み合わせる。

 例えば、個人向けには軽井沢までの新幹線の往復チケットと軽井沢プリンスホテルの宿泊がセットになったワーケーションの専用プランなどを想定。最初の軽井沢をモデルケースに、両社の結節点である苗場や雫石などにも広げていく方針を示す。

 今回の提携は単に交通手段と宿泊施設を提供するだけではない。JR東日本のグループ会社の研修メニューを活用できるようにするなど法人向けの需要獲得も狙う。また、ボランティア活動を取り入れたプランや将来の移住を検討する人に向けたプランも発売していく予定だ。

 JR東日本社長の深澤祐二氏は「我々の強みは新幹線などの長距離輸送、西武グループは豊富なホテル・レジャー施設とノウハウ」と語り、西武HD社長の後藤高志氏は「より住みやすく働きやすい持続的な社会を実現できると考えている」と話す。

 提携の枠は地方でのワーケーションだけに留まらず、JR東日本のシェアオフィスを西武鉄道の駅構内に展開したり、池袋駅など両社が乗り入れる駅での店舗開発での協業も視野に入れる。他にも軽井沢や品川などでのMaaSの展開やベンチャー企業との協業などを推進する両社のグループ会社の連携強化なども進めていく考え。

 今回は包括提携で資本提携などには踏み込んでいない。また、地方に宿泊施設を保有するのは他の鉄道会社も同じ。両社共に通期で巨額赤字を見込んでおり、需要の掘り起こしは喫緊の課題となっているだけに、他の鉄道会社を巻き込んだ提携が広がるかもしれない。


包括連携を発表するJR東日本社長の深澤祐二氏(左)と西武ホールディングス社長の後藤高志氏

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