2022-06-22

『カゴメ』と『NEC』がAI活用で営農支援の新会社設立へ

写真はイメージ

「トマトは生産額ベースでみると世界で一番つくられている野菜。それだけの量のトマトを上手に栽培するためには、優れた栽培技術が欠かせない。営農指導員の匠の技術と最新のテクノロジーを組み合わせることで、画期的なスマート農業が実現できる」と語るのは、カゴメ専務の渡辺美衡氏。

 カゴメとNECが、AI(人工知能)を活用して加工用トマトの営農支援を行う合弁会社を設立する。新会社はかねてからカゴメが事業や研究を続けているポルトガルに設立。カゴメのトマト栽培に関する知見とNECが持つ技術力を活用して、主に欧米で営農支援を加速。将来的にはそこで得たノウハウを日本にも持ち込みたい考えだ。

 具体的には、熟練の農家のノウハウをAIに学習させることで収益性の高い営農を促進。センサーや衛星写真を活用することで畑の状況を“見える化”し、広大な畑の中から異常が発生している箇所を的確に特定し、生産性向上を図ることを目指す。

 NEC常務の藤川修氏は「センサーと天気予報、衛星などの様々なデータを組み合わせることで、広大な畑の状態をシミュレーションで再現し、正しく把握できれば、あまりIT投資ができない栽培農家にも貢献できそうだと考えた」と話す。

 ICT(情報通信技術)を活用したスマート農業自体は、富士通なども手掛けており、真新しいものではない。しかし、「単に畑の状態を見える化するだけでなく、AIを活用することで、畑の状態を診断し、どう栽培していくべきかという処方箋を出すことができる」(渡辺氏)。

 現在は世界で人口増加による食料需要が増加。また、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響で食糧価格が高騰している。食糧安全保障が今まで以上に問われる中で、企業が果たせる役割も増していると言えそうだ。

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