2022-05-04

【64億円調達】ラピュタロボティクスCEOガジャン氏の「人生の“オプション”」

モーハナラージャ・ガジャン ラピュタロボティクス代表取締役CEO

ゴールドマン・サックスなどから64億円を調達した、日本のロボットベンチャー・ラピュタロボティクス。同社の代表取締役CEOを務めるのは、スリランカ出身の起業家・モーハナラージャ・ガジャン氏。日本で技術を学びたいと来日。日本で起業したベンチャー経営者の【人生の転機】とはーー。

ラピュタロボティクス
代表取締役CEO
モーハナラージャ・ガジャン
Gajan Mohanarajah

 日本で技術を学びたいと、故郷スリランカの大学を辞めて、来日しました。文科省の奨学金を受け、久留米高専を経て、東京工業大学に進学し、工学博士を取得しました。

 その後、チューリッヒ工科大学で工学博士を取得し、EU出資の「Roboearth」という〝ロボットのためのインターネット〟を作るプロジェクトで、クラウドロボティクス・プラットフォームの『Rapyuta(ラピュタ)』を発案。

 その頃、学会で来日し、20代を共に日本で過ごしたスリランカの旧友と日本で再会。彼は野村證券に就職し、自らヘッジファンドを運営するなどして活躍していました。

 その彼がわたしの発表を見て、「面白いね。一緒にビジネスをしよう」と起業を提案され、当時、研究していた『Rapyuta』の事業化を目指し、2014年7月ラピュタロボティクスを起業しました。

 共同創業者の彼もわたしも日本での生活が長く、日本の市場が最も身近なこともあり、日本の会社として創業しました。

 わたしの研究領域はロボットで、モノづくり立国の日本にはモーターやセンサーなどロボットに必要な要素が揃っていますし、少子高齢化の日本は生産性向上のためにもロボットが必要なので、その意味でも日本での起業は理に叶ったものでした。

 ロボットは発展途上の産業ですが、実用化を進めるためには、個別開発ではなく、共通基盤を活用することで、柔軟性やスケーラビリティが可能な産業にしていくことが必要です。そこで、制御技術や人工知能技術を活用したクラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」を開発し、提供しています。

 ハードに依存しないロボット開発を主軸に置いていますが、利用実績を増やすためにも現在、人と協働して作業ができるピッキングアシストロボット「ラピュタ PA-AMR」を提供しています。

 20年7月に日本通運様向けに商用化し、佐川グローバルロジスティクス様、京葉流通様、鴻池運輸様に導入いただき、現段階で現場の生産性が2倍以上になることが確認されています。

 これまでの人生にはいくつかの転機がありました。転機にはオプションがありますが、どの転機でも「より大きなreward(褒美)」を選び、今があります。

 まだまだ小さなベンチャーですが、日本の大企業様にも出資いただき、日本発のグローバル企業として、当社の技術を世界に広げていきたいと思っています。

 マイクロソフトがどのPCにも入っているように、またスマホにはアンドロイドOSが入っているように、すべてのロボットに「rapyuta.io」が入る世界を目指しています。

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ラピュタロボティクス・モーハナラージャ・ガジャン氏(右)

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