2022-05-10

【国土交通省】東北新幹線が1カ月ぶり再開 賞賛と共に脱線対策に課題も

3月の福島沖地震の影響で福島―仙台間の運転を見合わせていた東北新幹線は、約1カ月後の4月14日から全線での運転を再開した。運転本数を減らしての再開となったが、当初の予定よりも1週間ほど前倒しでの復旧で、国土交通省関係者からは賞賛の声が聞かれた。

 3月16日に発生した地震では、福島―白石蔵王間を走行していた同新幹線「やまびこ223号」(17両編成)の16両が脱線。電柱や鉄道橋など約1000カ所が被災した。

 国交省は地震発生直後からJR東日本に対し、復旧工事が迅速に行われるよう要請していた。こうした経緯もあり、同省鉄道局中堅は運転再開の前倒しについて「JR東はかなり頑張ったと思う。鉄道事業者としてプロ中のプロだ」とたたえ、斉藤鉄夫国交相も記者会見で「(現場を視察した際に)時間がかかると心配していたが、早期の復旧になり良かった」と話した。

 同省によると、1995年の阪神淡路大震災を教訓に進めてきた鉄道橋の補強工事により大規模な損傷がなかった、JR各社や鉄道運輸機構の協力もあり資材調達が順調だったことなどが早期復旧に寄与したという。

 今後は、JR東や運輸安全委員会が脱線や設備被害について調査を進める。今回の地震では11年の東日本大震災と比較しても強い揺れを観測した地点もあり、JR東の深澤祐二社長は記者会見で「引き続き必要な対策を検討していく」と話した。

 同省としても、鉄道橋の耐震基準や脱線対策に見直しの余地があるか、既存の新幹線脱線対策協議会を活用して議論する。

 鉄道局幹部は「運輸安全委員会の調査は通常1年くらいかかる。協議会で結論が出たものから実行に移したい」と地震への備えを急ぐ考えを示していた。

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