2021-01-02

東京海上ホールディングス・小宮暁社長「顧客の『いざ』を支え守り切る使命」

小宮暁・東京海上ホールディングス社長

── 「安心・安全」に関わる損保業界ですが、東京海上ホールディングス社長の小宮暁さんは21年をどう展望しますか。

 小宮 状況は各国・地域で違うと思いますがコロナ禍は1、2年、場合によっては3、4年長引くという覚悟で取り組まなくてはならないと思います。不確実性がありますから、回復の仕方も緩やかだと見ています。

 ── 米大統領選の結果も踏まえ、今後のグローバル経済のあり方をどう考えていますか。

 小宮 大統領選の結果にかかわらず、グローバル経済・社会そのものが試練にあり、地政学リスクが増大しています。その中でテクノロジーの進化が加速している。気候変動の問題も大きくなっています。

 お客様のリスクが増大する中、我々のビジネスパーパスは保険を通じて、お客様に安心・安全を提供し「いざ」を支え、守り切ることです。社会やお客様の期待に応えることができれば、我々はまだまだ成長していくことができると考えています。

 ── 社会のデジタル化が進む中、サイバーリスクも高まっていますが、この備えは?

 小宮 サイバーリスクには、まだデータがしっかり積み上がっていない、リスクが常に変化している、世界同時に発生する可能性があるという三つの特徴があります。

 非常に大きなリスクである以上、保険会社として逃げるわけにはいきません。例えば中小企業の中にはサイバーリスクへの対策が十分できていないところもあり、サイバーリスク保険の契約件数やリスク診断への引き合いを多くいただいています。

 当社グループはロンドンにサイバーリスク対応のヘッドオフィスを起き、最新情報を集め、それを世界各国のグループ企業に共有する体制をとっています。

 ── 近年、自然災害の被害が増大しています。損害保険会社としてどう対応しますか。

 小宮 リスクに備えてグローバルにポートフォリオを分散させることは、日本における自然災害に対峙するためにも必要なことだと考えています。

 また、この2~3年の自然災害の激甚化はこれまでと次元の違う対応が必要なのではないかと思っています。復旧・復興のために、最新のテクノロジーを使って一刻も早く保険金をお支払いする、あるいは水災・地震に対応する火災保険商品をより良いものにしていく、さらにはお客様、まだお客様になっていない方々に対しても、災害の前、来た時、その後に向けて我々が持つデータを基に情報提供していく。こうした保険の「前」と「後」の部分にサービスを展開していきたいと考えています。

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