2021-01-04

日本生命・清水博社長「『人』に会えない中での生命保険の提案に挑戦」

清水博・日本生命保険社長

── コロナ危機では「安心・安全」が重要なテーマになりましたが、日本生命保険社長の清水博さん、安心・安全を担う生保として21年の見通しと、日本生命自らの使命をどう捉えていますか。

 清水 生命保険の営業は、人とお会いすることがビジネスの本質です。それに対して心理的、物理的に制約が課される状況は、当社の132年の歴史の中でも、これまでになかった試練です。

 緊急事態宣言下では、全国5万名の営業職員が営業自粛をし、新契約はゼロに近い状態となりました。6月以降は営業を再開しましたが道半ばです。人にお会いできない中での営業活動にチャレンジしているところです。社内には「乗り越えられない試練はない。乗り越えて元に戻るのではなく、これまでになかった新しい未来を創ろう」と言っています。

 ── 新たな営業のやり方に挑戦をしていると。

 清水 ええ。お客様のご要望に応じて、対面・非対面を自在に組み合わせる営業活動に取り組んでいます。この営業スタイルが出来上がれば、会社の新たな未来への道が開けます。

 ── デジタル化と「人」の関係をどう考えていますか。

 清水 我々は社内で「人が一層輝くDX(デジタルトランスフォーメーション)」を合言葉にしています。「人が輝く」とは1人ひとりが持てる能力をより発揮し、成長できることだと定義しています。営業職員で言えば、先程の対面と非対面を自在に使いこなすことでお客様とのコミュニケーションを一層深め、活動を効率化することが重要です。

 ── 世界的低金利時代の運用をどう考えますか。

 清水 非常に厳しい状況が続いていますし、今後も続くと思います。生命保険会社はご契約者にお約束している予定利率を上回る運用収益を上げなければなりません。そのためには分散投資が原則となります。

 この原則を踏まえつつ、伝統的資産とは違うオルタナティブへの投資を拡大し、従来よりもややリスクを多めに取った運用を行うことで収益を維持している状況にあります。

 また、21年4月から、全ての資産の運用プロセスにESG(環境・社会・ガバナンス)を組み込む予定です。中長期で見た時にESGに重点を置くことがリターンにつながるとみていますし、会社として持続性のある社会づくりへのコミットメントをより強めていく狙いがあります。

 ── 菅首相が述べた「自助・共助・公助」の精神については、改めてどう捉えていますか。

 清水 人生100年時代の中、健康で長生きしたいという人々の期待に応えるのが生命保険会社の役割です。その中でリスクが起きた時に役立つ生命保険と、リスクそのものを減らすヘルスケアサービスの2本立てで、健康な社会づくりに貢献していきたいと思っています。

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