2021-01-02

みずほフィナンシャルグループ・佐藤康博会長「銀行と非金融企業がどう組むかが最大テーマ」

佐藤康博・みずほフィナンシャルグループ会長

── コロナ危機で金融の果たす役割が大きくなっています。みずほフィナンシャルグループ会長の佐藤康博さん、未だコロナが終息していませんが、21年の世界経済をどう見ますか。

 佐藤 IMF(国際通貨基金)は今年度の世界全体の実質成長率をマイナス4・4%、日本はマイナス5・3%という見通しを出しています。一部にはワクチンができればV字回復もあるという方もおられますが、難しいという見方も強い。

 21年度の世界経済についてIMFはプラス5・2%と見通していますが、その中では中国、ASEAN(東南アジア諸国連合)がプラス成長を続けることになるでしょう。ポイントは「人が動く経済」がどの程度の速度で戻ってくるかです。

 ── 日本はデジタル化が遅れていると言われますが、金融の立場でどう進めますか。

 佐藤 行政だけでなく民間レベルでデジタル化が必要になっています。銀行・金融業も同様で、足元で我々は店舗のデジタル化を急速に進めており、第1号として武蔵小杉支店をリニューアルオープンしました。これを24年度までに全店舗に広げていきます。

 事務の効率化を通じて、約1万人いる事務担当のうち約3割の3千人をコンサルティングや提案を担う業務にシフトします。対面の営業など、人間のリテラシーが必要な分野にシフトすることで生産性を上げていく。

 ── 銀行の業務範囲規制の緩和議論が進んでいますね。

 佐藤 個人金融の分野で、IT企業がテクノロジー、データを活用して金融事業を進めていますが、銀行は銀行法で他業種の経営ができないなどイコールフッティングではない部分があるので、銀行法改正議論の中でお願いをしているところです。

 これは銀行と証券の垣根、ファイアーウォール規制とも関係しますが、個人金融の分野で銀行だけで戦っていくことはおそらく不可能ですから大転換が必要です。我々はソフトバンクの「PayPay」と組むことにカジを切りましたが、今後は非金融企業、ノンバンクとどう組んで、強みを生かしていくかが競争の最大のテーマです。

 ── 佐藤さんは経団連副会長として、農業問題にも取り組んでいますね。

 佐藤 農業は成長産業です。しかし、営農者の平均年齢が高く、小規模農業が多く、デジタル技術が活用されていないという課題があります。

 ですから、農地取得の規制緩和、農地の集約、テクノロジーの活用が進めば、日本の農産品の質は世界レベルですから、十分に輸出産業として成り立ちます。食糧安全保障の観点からも、日本の農業活性化を一つの使命として取り組んでいきます。

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