2020-12-28

森トラスト・伊達美和子社長「場所を選ぶ時代、家族利用のワーケーションも」

伊達美和子・森トラスト社長

── 森トラスト社長の伊達美和子さん、コロナ禍で在宅勤務など働き方が変わりました。オフィス事業のあり方は?

 伊達 緊急事態宣言が出たところから在宅、テレワークという新しい習慣が始まり、オフィスにいらっしゃる人は減りました。宣言明けから、当初は30%、最近は50%程度動かれている印象です。ソーシャルディスタンスを取りながら、在宅とオフィスの両方を使いながら業務をする形がスタンダードになってきていると思います。同時に在宅の課題も見えてきています。

 21年以降は第3波の状況にもよりますが、ニューノーマルな働き方が定着してきたところで在宅の課題解決と、その上で、オフィスでどのような働き方をするのかを考える段階に入っていくと思います。オフィスのレイアウトの変更、仕事の仕方、イノベーションを起こすための仕掛けづくりなど、自社の競争力強化のために、オフィスの活用方法を考えていく時代です。

 ── 生き生きとしたオフィス環境作りが大切だと。

 伊達 そうですね。行きたいと思えるオフィス、何か生み出される、自分のやり甲斐につながっていくオフィスということだと思います。

 コロナによって働き方の自由度が大きく広がったことで、個人の立場で働く場所を選択できるようになり、企業もその選択肢を提供しなければいけなくなってきています。それは、企業がどうやって良い人材を獲得し、活躍してもらうか、というテーマを今まで以上に考える必要がでてきた、ということです。

 ── それがビルの付加価値にもつながってくると。

 伊達 そうですね。そのためのオフィスの付加価値を考えるのが、事業者の役割です。

 一方で、ワーケーションも、大きなテーマになっています。働く場所の選択肢として、オフィス、自宅に加えて、第3の場所、いわゆる「サードプレイス」も対象になってきています。

 その中には地域のカフェやコワーキングスペースもありますが、リゾートで旅行をしながら仕事をするという行動変容も注目され始めています。

 当社グループが運営する6つのホテルにおいて、20年6月からワーケーションのプランを導入しているのですが、夏休み効果で利用者が増えた夏よりも、実は秋・冬の方が増えています。最初は個人向けの反応があるかと思っていたのですが、秋にファミリー型のワーケーションの利用者が増えているという面白い現象が起きています。

 さらに、地方のリゾートなどで1週間ほど合宿をしながらチームビルディングをするなど、企業によるワーケーションの利用も増えています。今後の発展が楽しみです。

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