2020-12-30

三井不動産・菰田正信社長「人と人が会う価値が再認識された」

菰田正信・三井不動産社長

── 三井不動産社長の菰田正信さん、個人の生き方・働き方が見直される中で、人とオフィスの関係をどう考えますか。

 菰田 テレワークが浸透したのも事実だと思いますが、一方で会議や交渉事では、皆さんフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが生み出す価値を再認識されていると思います。ですから、ウイルスの感染リスクがなくなれば、かなり人の動きもリアルの世界に戻ってくるような気がします。

 やはり、オンとオフの切り替えと言いますか、どこかで仕事の臨戦態勢に入るスイッチが必要だと思いますので、今後のオフィスは本社拠点型のオフィスに加え、シェアリングオフィスプラス在宅勤務のハイブリッドの組み合わせになっていくだろうと思います。我々は『ワークスタイリング』という呼称でシェアリングオフィスを展開していますが、こういう場所が本社の代替として位置付けられることもあるでしょう。

 ── ハイブリッドの組み合わせというのは面白いですね。

 菰田 ええ。もう一つ、当社は4~5年前からオフィスをスペースとしてお貸しするのではなく、働く環境をサービスとして提供しています。これを「リアルエステート・アズ・ア・サービス」と呼んでおり、今までは不動産をモノとしてお客様に提供していましたが、今後は不動産をサービスとして提供するということです。

 例えば、ワーカーの方たちが健康を保てるようなサービスをセットにして、働く環境や働き方をテナントに提供する。要するに、今までは商品別にオフィス・住宅・商業がありましたが、これからは例えば「働く」、「住まう」「楽しむ」といった、お客様の行動でビジネスを括っていく世界に変わっていくのだろうと考えています。

 ── 視点を顧客の方に置いて、事業を発想していくと。

 菰田 仰るとおりです。お客様の行動からアプローチして、最適な商品サービスを提供する。そうなると、また新しい需要が出てくると思います。買い物にしても三井不動産は「&mall」(アンドモール)でeコマースを展開していますが、これと全国97カ所のリアルのショッピングセンターをセットにして、トータルでお客様に買い物ライフを提供できます。

 ── 最後に日本橋の再開発に続き、今度は八重洲ですね。

 菰田 日本橋にしろ、八重洲にしろ、都心型の複合開発は目白押しです。やはり、リアルの最大の良さや強みは人と人とが出会うことです。感染リスクに備えた「安心・安全な密」を構築しながら、今後も人が集まり、賑わい、来たくなる空間をつくることが大事だと考えています。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事