2022-02-03

林芳正・外務大臣に直撃!地政学リスクの高まる中、日本の外交の基軸は?

林芳正・外務大臣

不確実性が高まる中、日本のカジ取りをどう進めるか─。「普遍的価値観を共有する米国との同盟を基軸にしながら、日本の針路を決めていく」と話すのは外務大臣の林芳正氏。中国や北朝鮮が軍事的動きを強めるなど地政学リスクもある中、日本はどう対処すべきか。例えば経済安全保障を意識したサプライチェーンの構築など危機管理が問われている。

国際社会の変化が加速化、複雑化する中で


 ─ 外務大臣として国の形をつくる外交政策を担っているわけですが、改めて日本外交の基本姿勢から聞かせて下さい。

 林 現在、国際社会は、時代を画する変化の中にあると思っています。国際社会のパワーバランスの変化が、前に比べて加速化、複雑化してきている。

 これまで我々が慣れ親しんでいた既存の秩序を巡って、不確実性が高まっている中で、自らに有利な国際秩序の形成、影響力の拡大を目指した国同士の競争が露わになってきているのだと思います。

 日本を取り巻く安全保障環境も、北朝鮮による核・ミサイル開発の進展や、中国による尖閣諸島周辺を含む東シナ海における一方的な現状変更を始め、格段に速いスピードで厳しさ、不確実性が高まっています。

 我々としては、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値と、それに支えられた国際秩序が厳しい挑戦にさらされていると認識しています。

 ─ この流れの中で近年、「経済安全保障」という政策が登場、これについては?

 林 ええ。この数年、経済安全保障の領域でも国家間の競争が激化しています。安全保障の裾野が重要技術分野、新興技術分野に急速に拡大してきていると思っています。

 また、気候変動、新型コロナウイルス、軍縮・不拡散といった地球規模課題への対応も立ち止まることが許されない状況にあります。そうした中で「ポストコロナ」で重要性が増すデジタル分野を始めとして、新しい時代に対応したルールづくりや国際秩序の構築が求められていると考えています。

 ─ 2021年12月に英リバプールで開催された先進7カ国(G7)外相会合に出席したわけですが、その中で日本の立ち位置をどう感じましたか。

 林 G7の中でアジアの国は日本だけですが、欧米諸国もアジア太平洋、例えば先程申し上げた中国や北朝鮮を含む状況に無関心ではいられないのだということを、現場でひしひしと感じてきました。その意味でもG7各国の日本に対する期待の大きさを感じたところです。

 ─ アメリカとの同盟関係は日本の外交の基軸です。これからどう運営していきますか。

 林 何といっても日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸であり、インド太平洋地域、国際社会の平和と繁栄の礎であると考えております。

 両国に共通するのは自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値です。その普遍的価値で強く結ばれた日米同盟の重要性がますます大きくなっていく。安全保障、経済、そして人的交流を含めて、総合的に日米同盟を深化させていかなければならないと思っています。

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