2022-02-02

【厚生労働省】「成年後見制度」利用促進へ、都道府県の役割を強化

厚生労働省は、認知症などで判断力が不十分な人の財産管理を弁護士らが代行できる「成年後見制度」の利用を進めるため、都道府県の役割を強化する方針だ。2022年度にスタートする同制度の利用促進基本計画に、都道府県が過疎地の市町村などで後見人や相談業務に携わる人材の確保に当たることを明記。計画は同年3月ごろの閣議決定を目指している。

 厚労省は、どの地域に住んでいても制度を利用できるよう、市区町村に対し高齢者や障害者の相談に応じたり、後見人を紹介したりする「中核機関」の創設を求めている。しかし、厚労省の調査によると、21年度末に中核機関の整備を完了する見込みなのは、全1741市区町村の55%に当たる961団体にとどまる。人口規模が小さく、弁護士などがいない過疎地域や離島を中心に整備が十分に進んでいないのが実情だ。

 そこで厚労省は、都道府県に対し、オンラインによる相談業務への協力を弁護士会などに呼び掛けるよう要請する考えだ。都道府県が弁護士会などの司法専門職との定期的な協議や相談業務に関する助言などを受けられる仕組みを構築することで、市区町村による中核機関の体制整備を推進する。

 また、市区町村が実施する養成講座を受けた市民の中から選任される「市民後見人」は極めて少ないことから、都道府県には担い手の育成・確保にも努めてもらう。市民後見人や福祉・司法関係者を対象にした研修を実施してもらう考えだ。

 現行の利用促進基本計画は、21年度が最終年度。そのため、厚労省は専門家による会議を立ち上げ、次期計画について議論し、都道府県の役割を強化するなどの方針を決めた。厚労省によると、認知症の高齢者は約600万人いると推計。一方で、成年後見制度の利用者は20年12月末時点で約23万件にとどまっている。

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