2022-01-31

【経済産業省】経済安保推進法案を提出、供給網強靱化など4本柱

写真はイメージ

政府は2022年の通常国会に経済安全保障推進法案を提出する。経済安全保障の強化は岸田文雄首相が昨年の衆院選などで選挙公約に掲げた基本政策の一つ。あらゆる産業に不可欠となった半導体のほか、新型コロナウイルス危機で重要性が増した医薬品・医療機器など「戦略物資」のサプライチェーン(供給網)の強靱化が推進法案の柱となる。小林鷹之経済安全保障担当相が国会審議を主導することになる。

 経済安全保障は一般に、技術革新、サプライチェーン(供給網)の確保といった経済・産業政策の面から国家安全保障をとらえる考え方。米国と中国が先端技術や経済活動で覇権を争う中、自民党などで「日本も国際的なルール形成を主導すべきだ」といった意見が強まり、政府の重要政策に位置付けられた。

 岸田首相は昨年11月に経済安全保障推進法案の策定や政策実行に向け、関係閣僚が参加する「経済安全保障推進会議」(議長・岸田首相)を設置。「世界各国が戦略的物資の確保や重要技術の獲得にしのぎを削る中、我が国の経済安全保障の取り組みを抜本的に強化することが重要だ」と政策推進に意欲を示した。

 推進法案は「サプライチェーンの強靱化」と「先端技術での官民協力」「基幹インフラの安全性・信頼性確保」「重要分野の特許非公開化措置」――の4点を柱とすることが決まっている。

 特に半導体、医薬品、先端分野の電池、レアアースを含む重要鉱物について、政府は4つの戦略物資と位置付けており、国内生産能力の強化や多元的な調達に取り組む方針を内定した。

 ただ、永田町関係者によると、推進法案での過度な罰則や政府関与に対しては与党・公明党などに慎重論がある。また、産業界には「経済安保政策を徹底すれば、先端製品の製造拠点を持ち、巨大市場でもある中国との関係が難しくならないか」(大手メーカー幹部)といった懸念が根強い。小林氏も「(政策の実施には)産業界、アカデミアとの協力が不可欠だ」と強調しており、推進法案の確定までは産業面での配慮と実効性の確保の2面での調整が続きそうだ。

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