2020-12-17

集客とESGの両立へ ローソンの廃棄ロス削減策


デジタル技術を利用して顧客の利便性向上を



 コンビニにとってもう一つ大きな課題が人手不足への対応。

 2020年2月、ローソンは川崎市内にある富士通の事業所で 〝レジ無し店舗〟(ローソン富士通新川崎TS店)をオープン。利用者は生体認証を利用し、入場ゲートで手のひらをかざすだけ。あとは買いたい商品を手に取って店を出るだけでお買い物ができる。クレジットカードから自動決済される仕組みだ。

 これは不特定多数の人が訪れるのではなく、事業所の中という限られた人しか入店できないために可能なことでもあるが、省人化という意味合いに加え、今は新型コロナウイルス対応の一環として非接触・非対面のキャッシュレス決済やレジ無し店舗が求められていることから、今後はこうした店舗の普及が進むことが期待されている。

 この店舗を実際に利用した富士通社長の時田隆仁氏は「レジに並ばない、財布やスマホを出さないという、今まで特に負担に感じることが無かった動作が無くなることがこんなにも楽だったとは」と驚いていた。

 長年成長を続けてきたコンビニ業界だが、近年は「かつてのような大量出店で売り上げを伸ばすという必勝パターンはもう通用しない」(業界関係者)という声も聞かれるようになった。

 これからコンビニ業界が栄枯盛衰の激しい流通業界を生き抜くには、既存店の強化とデジタル技術を活用したリアルとネットの融合が不可欠だ。

 向山氏は「例えば、デジタル技術を利用し、店舗で登録販売者とリモートで繋ぐことで、医薬品の販売が可能になる取り組みなどは、お客様にニーズがあり、利便性の向上に繋がるのではと考えている」と語る。

 今はあらゆる企業の経営戦略に「SDGs(持続可能な開発目標)」が求められる時代。転換期のコンビニには、社会や環境を意識した経営が今まで以上に求められている。

 それでも、少子高齢化で市場縮小が予想される国内において、ローソンが集客と廃棄ロス削減を同時に実現するようなビジネスモデルを構築することができれば、これからグローバルで成長を求める時代になっても一つの輸出モデルとなるだろう。

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