2020-12-17

樋口建介・群馬パース学園理事長が語る「コロナ禍の大学運営」

樋口 建介・群馬パース学園理事長



 ─ しかし、パソコンの貸与にしても、相応の投資はかかりますよね。その辺の手当てはどうなっていますか。

 樋口 2009年からパソコンを貸与したと申しましたけど、この時、同時に学生に海外研修を行うようにしたんです。

 ハワイ大学やカリフォルニア州立大学、そしてマレーシアのリンカーン大学などに研修生を受け入れてもらっているんですが、2009年度には全員ハワイ大学に行ってもらいました。

 全員といっても当時は120名くらいの学生数でしたが、それでも費用は2000万円くらいかかりました。これに加えてノートパソコンが入りますから3300万円くらいはかかりましたね。

 ただ、今回のようなコロナがあろうとなかろうと、2032年には18歳人口が100万人を割り込むわけで、学生確保のためにもそうした投資は必要ですよね。

 ─ 学生は今どれくらいですか。

 樋口 全部で1400名くらいだと思います。今は1学年の定員が350名ですが、来年からは420名に増えます。ですから今後は420名の学生を海外に送り出さなくてはなりませんね。今はコロナでなかなか海外に出るのは難しいのですが、これも学生にとっては必要な投資ですので、必要な手当てはしていきたいと思います。

将来的には3学部制に?



 ─ ちなみに1400名のうち群馬県出身の学生はどれくらいになるんですか。

 樋口 半分超、55%くらいは群馬県の出身です。北は北海道から、東北、関東と、南は静岡くらいまでが多いです。

 ─ 今は学部は2つでしたか。

 樋口 今はリハビリテーション学部と保健科学部の2つの学部があるんですが、将来的にはもう1学部増やして3学部にしたいと思っているんです。

 具体的には現在、保健科学部の中に看護学科がありますので、これを独立させて看護学部とし、残った臨床工学科や放射線学科、検査技術学科を改称して医療技術学部にしたいと考えています。

 ─ 学部の再編にも、ずいぶん意欲的ですね。

 樋口 ええ。今はおかげさまで入学志望者も多いんです。

 今年3月の卒業生を見ても、2019年度の国家試験合格率は、看護師で98・8%、臨床検査技師98・4%、理学療法士95・1%、保健師や助産師は100%と、いろいろな調査を見ても、本学は毎年、全国で上位に入っています。

 ─ それは大学の大きなセールスポイントになりますね。そういう仕組みをつくってきたということでもあると。

 樋口 やはり、目先の問題ではなく、利便性のことを考えれば、地方の大学が生き残るためには、他の大学がやっていないことをどんどん先駆けてやるようでないと選んでもらえませんよね。その意味では、学生にとって大事なことは何なのかを考え続けることが、最終的には学生確保につながってくると思います。

 やはり、自分自身でうぬぼれてもいけないけど、コロナ禍にあってバタバタしなくても乗り切ることができたのは、そうした体制ができていたからだと思います。

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